最初に：迷いやすいポイントを3ステップで整理
冠婚葬祭の服装は、「何を着れば失礼がないか」「色や柄は大丈夫か」で迷いがちです。そこで、まずは次の3ステップで考えると選びやすくなります。1）シーン（祝う・悼む・門出を支える） 2）自分の立場（主役・親族・来賓） 3）季節（暑さ寒さ・素材感）。この順に決めれば、場にふさわしい色・柄・素材が自然に絞れます。
結婚式・披露宴：華やぎと上品さのバランス
基本は「主役より目立たない上品な華やかさ」。色はネイビー、ベージュ、パステル、ダークグレーが安心。白無地や白っぽい総レースは花嫁とかぶる恐れがあるため回避。黒ワンピースは、素材やアクセサリーで明るさを足すと祝意が伝わります。男性は濃紺・チャコールのスーツに白シャツ、光沢控えめのネクタイ（シルバー、薄ブルー、ボルドーなど）。昼は光沢控えめ、夜はやや艶のある素材も可。露出は控えめに、柄は細かな織り柄や小花程度が上品。アニマル柄・カモフラ・ロック調の強い柄は避けましょう。
葬儀・告別式・法要：控えめ・無地・光沢なし
喪服は黒無地が基本。男性はブラックスーツ（濃墨推奨）に白シャツ、黒無地ネクタイ、黒靴・黒ベルト、金具の輝きは控えめ。女性は黒ワンピースやアンサンブル、ストッキングは黒無地、靴はプレーンな黒パンプス。アクセサリーはパール一連が無難（多連・大粒は避ける）。柄物や光沢素材、エナメル、強い香水は控えます。通夜は急な場面もあるため、ダークスーツや地味色のワンピースでも可。ただし翌日の葬儀・告別式では正式喪服へ。
入学・卒業、成人式、七五三・お宮参り：晴れの日は明るく清潔感
学校行事は「控えめな明るさ」。入学式はライトグレー、ベージュ、ネイビーに白トップスで明るさを。卒業式は少し落ち着いたネイビーやミディアムグレーが人気。成人式は振袖・スーツともに華やかさを楽しめますが、二次会や式典会場では過度な露出・過度な装飾は控えめに。七五三・お宮参りは主役が子どもや赤ちゃんなので、親は上品な無地や細かな柄でまとめると写真映えも良好。父親はネイビースーツ、母親は淡色のセレモニースーツやワンピースが定番です。
季節別の色・素材選び
- 春：明るいニュアンスカラー（ミント、ラベンダー、ライトグレー）。素材は軽めのウール、ツイル、薄手ジャカード。
- 夏：通気性重視。リネン混やトロピカルウール、クレープ。色は淡色〜中間色。葬儀は薄手でも黒無地・光沢なしを守る。
- 秋：深みのあるトーン（ボルドー、フォレストグリーン、キャメル、ネイビー）。起毛しすぎは重く見えるので会場温度に合わせて。
- 冬：ウール、ツイード、ベロアなど温かみある素材。結婚式は黒にパールや明るいストールで華やぎを加える。
小物・柄のルール：仕上げで印象が決まる
- バッグ・靴：結婚式は小ぶりで上品、金具は控えめ。葬儀は光沢無しの黒。
- アクセサリー：結婚式はパール・地金のシンプルなもの。大ぶりは1点に。葬儀は白/黒パール一連、揺れるものは避ける。
- ネクタイ：祝事は薄色〜中間色の小紋・織り柄。弔事は黒無地、ピンは外す。
- 柄選び：無地、細かなヘリンボーンやピンヘッド、小花程度。大柄・アニマル・迷彩・英字ロゴは避ける。
迷ったときの決め方：チェックリスト
- 招待状や案内文にドレスコードの記載がないか確認（セミフォーマル、スマートカジュアルなど）。
- 自分の立場を再確認（主役に近いほど格式を上げ、色は控えめに）。
- 写真に残ったときのバランスを想像（家族・主役より目立たないか）。
- 地域・宗教・会場の雰囲気を尊重（迷えば主催者に相談）。
- 最後は「清潔感・整ったサイズ・シワがない」ことを最優先。
冠婚葬祭の装いは、相手を思いやる気持ちが形になったもの。シーン・立場・季節の3要素と、小物・柄の基本を押さえれば、どんな場でも安心して振る舞えます。
