「クレカ付帯保険で十分？ それとも別途で旅行保険に入るべき？」――旅の準備でよく迷うポイントです。結論から言うと、行き先・期間・やりたいことによって最適解は変わります。クレカ付帯保険は“うまくハマれば強い無料のセーフティネット”、旅行保険は“必要な部分を狙って厚くするカスタム防具”。本稿では、迷わず選べる判断軸と、失敗しやすい落とし穴、出発前チェックのコツをシンプルに整理します。
クレカ付帯保険の基本
クレジットカードに無料で付く保険は、持っているだけで対応する「自動付帯」と、旅費の決済などが条件の「利用付帯」があります。主な補償項目は、治療費、携行品損害、賠償責任、救援者費用、傷害死亡・後遺障害など。年会費の高いカードほど上限やサポートが手厚い傾向ですが、補償範囲や自己負担の有無、家族が対象かはカードごとに差があります。費用ゼロで基礎カバーを確保できるのが強みですが、補償の穴や上限不足には注意が必要です。
旅行保険の基本
旅行保険（任意加入）は、行き先・期間・人数に合わせて補償を自由に設計できます。スポーツ・アクティビティの上乗せ、家族型セット、携行品の上限や自己負担の調整、航空機遅延や旅行キャンセル費用の特約など、必要な部分だけ厚くできます。短期なら数百円～で加入できるプランもあり、「足りないところをピンポイントで補う」のに向いています。
賢い使い分けの判断軸
- 行き先の医療費水準：医療費が高い地域ほど上限の厚さが重要。クレカの限度が心許ない場合は旅行保険で上乗せ。
- 期間と回数：短期・弾丸ならクレカで十分なことも。長期・周遊は旅行保険で総合力を確保。
- アクティビティ：スキー・ダイビング・レンタカーなどは、クレカで対象外や条件付きのことが多く、特約で穴埋めを。
- 同行者の構成：家族もカバーしたいなら「家族特約の有無」と範囲（配偶者・子ども等）を確認。足りなければ家族型の旅行保険を。
- 補償の穴：航空機遅延、旅行キャンセル費用、携行品の自己負担など、クレカで弱い項目は旅行保険で補強。
- 支払いの手間：立替不要のキャッシュレス治療の使い勝手や、サポート窓口の言語・24時間対応も判断材料。
よくある落とし穴
- 自動付帯と利用付帯の勘違い：航空券・ツアー代・空港までの交通費など、決済条件が細かい場合あり。事前に条件を満たす支払いを。
- 家族補償の範囲：同居・別居や年齢で対象外になることも。カードの「家族特約の定義」を要チェック。
- 携行品の対象外：現金、チケット、コンタクトレンズなどは対象外・上限低め・自己負担ありが一般的。
- 複数カードの合算：治療費などは上限が合算できる場合がある一方、死亡補償は高い方のみなど項目ごとにルールが異なる。
- 連絡フロー：保険会社への連絡前の自己判断対応で、補償対象外になることも。緊急連絡先と手順を控えておく。
出発前チェックリスト
- 持っているカードの付帯保険を一覧化（付帯タイプ・補償上限・自己負担・家族範囲）。
- 行き先・期間・予定アクティビティを書き出し、必要な補償の優先順位を決める。
- クレカで足りない項目（治療費上限、携行品、遅延・キャンセル、レンタカー対人・対物など）を特定。
- 不足分だけ旅行保険で上乗せ。見積時に自己負担の有無とキャッシュレス可否を確認。
- 保険証券番号、連絡先、対象病院・提携窓口をスマホと紙で控える。
使い分けの目安（例）
- 週末の国内一人旅：アクティビティが軽めであれば、クレカ付帯で十分なケースが多い。携行品の自己負担が気になるならミニプランを追加。
- 家族で海外リゾート：家族特約が薄い場合、家族型の旅行保険で治療費と携行品を底上げ。遅延・ロストバゲージ特約も有効。
- 長期留学・滞在：期間が長いほどリスク累積。クレカはサブとして、長期対応の旅行保険をメインに。
まとめ：無料の土台＋必要部位に上乗せ
まずは手持ちカードの付帯保険を“無料の土台”として把握し、旅のリスクに応じて“必要部位にだけ”旅行保険で上乗せするのが、コスパと安心のバランスが良い方法です。迷ったら「行き先の医療費」「期間」「アクティビティ」「家族範囲」「補償の穴」の5点を基準に選べば、過不足のない設計に近づけます。
