「いつ、どこで、何が起きるかわからない」。そうは言っても、一般的な保険ではカバーしづらい出来事があります。例えば宇宙旅行の遅延、屋外イベントの雨天中止、人生の晴れ舞台である結婚式のトラブルなど。課題は、こうした“珍しい保険”は条件が独特で、何が対象で何が対象外かが分かりにくいこと。そこで本稿では、代表的な珍しい保険の中身と選び方のコツを、専門用語をできるだけ避けて、分かりやすく整理します。
珍しい保険ってどんなもの？
珍しい保険は、頻度は低いけれど起きたら影響が大きい出来事に備えるためのものです。一般的な火災や自動車保険の枠外にあるリスクを、特定の条件（期間・場所・測定方法など）でピンポイントに補償するのが特徴。ポイントは「対象がはっきりしているか」「支払い条件が明確か」「既存の保険と重複しないか」の3つです。
宇宙関連の補償：遅延・キャンセル・機器トラブルへの備え
民間の宇宙旅行や衛星関連のプロジェクトが身近になり、宇宙まわりの補償も多様化しています。個人向けでは、打ち上げの大幅な遅延やキャンセルにともなう旅行代金・滞在費の補償、関連イベントの中止費用の補償などがあります。事業者向けには、打ち上げ失敗や衛星の機器不具合に関する補償も存在します。
注意したいのは、「打ち上げ成功の定義」「遅延とみなす時間の基準」「事業者の補償との重複」。契約前に、成功/失敗の判定条件や返金・振替の優先順位を確認しておくと安心です。
天候保険：イベントや売上の“天気まかせ”を減らす
屋外フェス、花火大会、地域のマルシェ、農業・観光など、天気で結果が大きく変わる場面では天候保険が活躍します。一定の降雨量・降雪量・風速・日照時間など、あらかじめ決めた条件を満たしたら定額が支払われる仕組みが主流。実損の証明がいらないケースもあり、支払いがスムーズなのが魅力です。
チェックポイントは「どの観測所のデータを使うか」「観測の時間帯・期間」「微妙な天気のときの扱い」。イベント主催者は、予備日の設定や中止判断の基準とセットで設計すると、運営判断がブレにくくなります。
結婚式の補償：万一の中止・延期・破損に
結婚式は多くの費用が一日に集中するため、思わぬトラブルの影響が大きくなりがちです。結婚式保険では、会場トラブルや自然災害に伴う中止・延期の費用、衣装や指輪の破損、重要ゲストの体調不良や交通トラブルによる再手配費用などをサポートするものがあります。
確認したいのは「中止・延期と認められる範囲」「悪天候の基準」「会場側の約款で補償されるものとの重複」。写真・動画などの前撮り費用や二次会の費用は対象外のこともあるため、対象範囲を具体的に洗い出しましょう。
ほかにもあるユニークな補償
- イベント出展者向け：来場者への賠償責任や、設備・商品破損の補償
- キャンペーン・景品向け：達成時に高額景品を提供する場合の費用補償（例：ホールインワン企画）
- 地域行事・スポーツ大会向け：悪天候や会場使用不可による中止費用の補償
いずれも「いつ」「どこで」「どの条件を満たしたら」支払いになるかを明確に定め、証拠の取り方（申請時に必要な書類やデータ）まで事前に共有しておくと、いざというときに慌てません。
選び方のコツ：失敗しないための5つの質問
- 目的は何か？（中止費用の穴埋めか、売上減の緩和か、再開催費の確保か）
- 条件は数字で語れるか？（雨量10mm以上、風速◯m以上など）
- 期間・場所は具体的か？（観測所の指定、イベント時間の定義）
- 既存の契約と重複しないか？（会場の規約、クレジットカード付帯、共済など）
- 証明はどうやって行うか？（公的データ、第三者計測、領収書・契約書）
この5点を整理してから見積もりを複数社に依頼すると、補償の差や費用対効果が見えやすくなります。条件が噛み合わないと感じたら、補償額を絞ってでも「発動条件の明確さ」を優先するのがおすすめです。
まとめ：レアなリスクほど、ルールを先に決める
珍しい保険は、めったに起きないけれど起きたら困る出来事に合わせて設計された“ピンポイントの安心”です。宇宙、天候、結婚式――いずれも、成功/中止/再手配の基準を先に決めて、関係者と共有しておくことが最大のリスク対策。数字で語れる条件、重複の回避、証拠の準備。この3点を押さえれば、ユニークな挑戦も、もっと前向きに進められます。
