おしゃれに関心が高い国を生成AIに聞いてみた

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「おしゃれな国といえば、どこを思い浮かべますか?」

この質問を投げかけると、きっと多くの方が「フランス」や「イタリア」といった国々を挙げるのではないでしょうか。ファッションの世界に身を置く私にとっても、それは馴染み深い答えです。しかし、そのイメージはどこか漠然としていて、もしかしたら映画や雑誌によって作られたものかもしれません。もし、この素朴な疑問を、膨大なデータを持つ「生成AI」に尋ねたら、一体どんな答えが返ってくるのでしょう?

今回は、そんな好奇心から「おしゃれに関心が高い国」について、いくつかの生成AIに質問を投げかけてみました。その客観的(?)な回答を、フランスファッションを愛する専門家の視点から、少し深掘りして考察してみたいと思います。

AIが教えてくれた「おしゃれな国」トップ3

驚くべきことに、どの生成AIに尋ねても、上位に挙がってくる国の顔ぶれはほぼ同じでした。まるで示し合わせたかのように、彼らが導き出したトップ3は、やはり多くの人が予想する通りの結果となりました。

1位:フランス
AIが挙げる理由は「エフォートレス・シック(頑張りすぎない洗練)」、「時代を超越したスタイル」、「歴史的ブランドの存在」など。シャネルやディオールといったオートクチュールの伝統が、現代のパリジェンヌのファッションにも息づいていると分析しています。キーワードは「シンプル」「質の良さ」「自分らしさ」でした。

2位:イタリア
イタリアについては、「大胆で情熱的なスタイル」「優れた職人技」「ラグジュアリーブランドの宝庫」といった評価が目立ちました。グッチやプラダ、フェンディといった世界的なブランドを擁し、鮮やかな色使いや上質なレザー製品がイタリアファッションの象徴だとAIは語ります。キーワードは「華やか」「セクシー」「クラフツマンシップ」。

3位:日本
そして、私たち自身の国、日本も堂々のランクイン。AIは「独創的なストリートファッション」「ミニマリズムと前衛の融合」「テクノロジーと伝統の調和」を高く評価しています。原宿のカラフルなスタイルから、コム・デ・ギャルソンやヨウジヤマモトのような世界に衝撃を与えたデザイナーズブランドまで、その多様性が注目されているようです。キーワードは「個性的」「革新的」「レイヤード」。

その他、イギリスの「伝統とパンクの融合」、アメリカの「多様性とカジュアルさ」、スウェーデンの「ミニマルで機能的なデザイン」なども挙げられ、AIが各国のファッション文化を的確に捉えていることに感心させられました。

やはりフランスは「おしゃれ」の代名詞? AIの答えを深掘り

さて、専門家として最も気になるのは、やはり1位に輝いたフランスです。AIが分析した「エフォートレス・シック」という言葉は、フランスファッションを語る上で欠かせないキーワードですが、その本質は少し誤解されがちかもしれません。

多くの人が想像するパリジェンヌは、ボーダーシャツにトレンチコート、バレエシューズといった、いわゆる「フレンチ・アイコン」的なスタイルかもしれません。しかし、実際にパリの街を歩いてみると、ファッションはもっと多様で、そして驚くほどシンプルです。

彼女たちの「エフォートレス(頑張りすぎない)」とは、決して「何でもいい」という意味ではありません。それは、「自分に何が似合うかを完璧に理解している」という自信の表れなのです。流行のアイテムを次々と買い足すのではなく、自分の体型やライフスタイルに合った、本当に質の良いものを数少なく持ち、それを大切に着回す。例えば、祖母から受け継いだ上質なカシミアのセーターや、蚤の市(マルシェ)で見つけた一点もののヴィンテージブラウス。そういった物語のある一着を、ごく自然に現代のデニムと合わせるのが彼女たちのスタイルです。

AIは「歴史」や「伝統」という言葉を使いましたが、それはまさに、物を大切にし、自分らしいスタイルを時間をかけて築き上げていくという、フランス人の精神性に繋がっているのです。

AIには見えない?「おしゃれ」の本当の意味

生成AIの回答は、非常によくまとまっていて、ファッションの入門書としては完璧かもしれません。しかし、そこには少しだけ欠けている視点があります。それは、データ化できない「個人の価値観」や「その日の気分」です。

AIが提示するのは、いわば「最大公約数的な正解」です。フランス人はシック、イタリア人は華やか、日本人は個性的。これは分かりやすいステレオタイプですが、現実の人間はもっと複雑です。雨の日に気分を上げるために、あえて真っ赤なコートを着るパリジェンヌもいれば、ミニマルな黒い服をこよなく愛するミラネーゼもいます。

本当の「おしゃれ」とは、ランキングで決められるものではなく、「自分自身をどう表現したいか」という極めてパーソナルな行為です。AIが教えてくれた各国の特徴は、その表現のための素晴らしいヒントになります。イタリア人のように色で遊んでみたり、日本人のように意外な組み合わせに挑戦してみたり。そうしたエッセンスを取り入れながら、最終的には「自分だけのスタイル」という心地よい着地点を見つけることが、ファッションの最も楽しい部分ではないでしょうか。

AIは素晴らしい教師ですが、最後の答えは自分の中にしかありません。フランス人が大切にする「自分らしさ(Je ne sais quoi)」を軸に、AIという新しいツールを賢く使って、自分だけのファッションを楽しんでいく。それが、これからの時代のおしゃれの楽しみ方なのかもしれませんね。

※ 本稿は、様々な生成AIに各テーマについて尋ねた内容を編集・考察したものです。
AIインサイト編集部

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