「コラーゲンサプリは本当に肌に効くの?」——よく聞かれる疑問です。飲んでも消化されて終わるのでは、という指摘がある一方、人での試験では肌の水分量や小じわに差が出たという報告もあります。本稿では、吸収の仕組みと臨床研究の要点をやさしく整理し、日常での取り入れ方と期待値の置きどころを提案します。
なぜ「飲むコラーゲン」は疑われるのか
食べ物のたんぱく質は、体内で細かく分解されます。だから「コラーゲンを飲んでもアミノ酸になるだけで、肌のコラーゲンにはならないのでは?」という見方が生まれます。実際、大部分はアミノ酸まで分解されます。ただし、コラーゲンを細かくした「コラーゲンペプチド」では、ごく一部が小さなペプチドとして吸収され、体内で合図のような働きをする可能性が指摘されています。
吸収のしくみ:どこまで本当に届く?
加水分解されたコラーゲン(コラーゲンペプチド)を摂ると、数%程度は「ジペプチド」などの形で血中に現れることが確認されています。量としては多くありませんが、これらが「肌細胞にコラーゲンづくりをうながすスイッチ」として働く可能性がある、というのが現在の有力な説明です。つまり、飲んだコラーゲンそのものが肌に貼りつくのではなく、体内の仕組みを間接的に後押しするイメージです。
臨床研究が示すこと
人での試験(プラセボ比較など)をまとめると、次の傾向が見えてきます。
- 期間:8〜12週間程度の継続で差が出やすい。
- 量:1日あたりおよそ2.5〜10gの範囲が多い。
- 効果の方向性:肌の水分量、弾力、小じわ(特に目元)で「小さめ〜中くらい」の改善が報告されることがある。
- 個人差:乾燥しやすい人や紫外線ダメージが気になる人は体感しやすい一方、若くてもともと整っている肌は差を感じにくい。
- 限界:効果はあくまで「控えめ」。中止すると元に戻ることもある。研究の質や資金提供の影響など、ばらつきにも注意が必要。
要するに「劇的な変化」ではなく、「じわっと底上げ」を狙うサプリ、というのが現実的な見方です。
効果を感じやすい人・感じにくい人
- 感じやすい:季節的に乾燥しやすい、屋外での日差しが多い、保湿だけでは物足りないと感じている人。
- 感じにくい:もともと肌状態が安定している、十分なたんぱく質を食事でとれている若年層、短期間で結果を求める人。
選び方と飲み方のコツ
- 表示をチェック:「コラーゲンペプチド」「加水分解コラーゲン」と明記されたものを。余計な糖や香料が少ない方が続けやすい。
- 原料の違い:魚(マリン)、豚、牛、鶏など。魚由来は溶けやすく味が軽め。アレルギーがある人は原料を必ず確認。
- 量と期間:まずは1日2.5〜5g程度から。8〜12週間続けて肌の状態を観察。
- タイミング:いつでもOK。習慣化しやすい時間に。コーヒーやスープ、ヨーグルトに混ぜてもよい。
- 一緒にとりたい栄養:ビタミンC、鉄、銅などは体のコラーゲンづくりに関わります。食事のバランスも大切。
- 外側のケアと併用:紫外線対策と保湿は土台。サプリは「プラスα」と考えると満足度が上がります。
安全性と注意ポイント
一般的な量であれば、多くの人にとって安全性は高いと考えられています。まれに胃もたれやお腹のハリを感じる場合があるため、気になる時は量を減らすか、食後に回すと楽になることがあります。魚・牛・豚・鶏などの原料アレルギーがある人は必ず表示を確認してください。サプリはあくまで食品の延長線上。過剰に増やしても近道にはなりにくいので、適量をコツコツ続けるのがおすすめです。不安がある場合は、日頃の体調を知る専門家に相談すると安心です。
まとめ:期待値の設定がカギ
コラーゲンサプリは、体内で一部が小さなペプチドとして吸収され、肌のうるおいや弾力を「少しだけ」後押しする可能性があります。確かな土台づくり(保湿・紫外線対策・十分なたんぱく質とバランスの良い食事)の上に、2.5〜5gを目安に8〜12週間続けて様子を見る——この現実的な使い方が、いちばん損をしないアプローチです。過度な期待や過剰摂取を避け、うまく暮らしに溶け込ませることが、結果的に肌ごと生活の快適さを高めてくれます。























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