まずは課題整理:なぜSMSは「70文字」で切れるの?どう書けばムダなく届く?
SMSを配信すると「70文字で分割された」「文字数カウントが合わない」「半角にしたのに短くなる」といった悩みがよく起きます。背景には、SMSの文字エンコーディング(文字の数え方)と、全角・半角・絵文字といった“見た目は似ているけれど中身が違う文字”の混在があります。この記事では、SMSが70文字で切れる仕組みと、全角半角の罠を分かりやすく解説し、実務で使える対策を提案します。
結論先取り:文字セットで上限が変わる
- 半角英数字のみ(GSM 7bit):最大160文字(分割送信時は1通あたり153文字相当)
- 日本語や絵文字などを含む(Unicode/UCS-2):最大70文字(分割送信時は1通あたり67文字相当)
日本語を1文字でも含むと、ほとんどの環境でUnicode扱いになり、上限が70に下がります。これが「70文字で切れる」最大の理由です。
もう少し詳しく:SMSの中の「文字の正体」
SMSは本来、英数字を7ビット圧縮で送る設計(GSM 7bit)が中心でした。このため、英数字だけなら160文字まで入ります。しかし日本語のような非ASCII文字を扱うために、各社はUnicode(UCS-2相当)で送る方式を使います。Unicodeは1文字あたりの情報量が増えるため、同じ容量でも入れられる“表示文字”が少なくなり、上限が70になるわけです。
さらに、メッセージが上限を超えると「連結SMS(分割結合)」になり、結合情報(UDH)が入るぶん、1通あたりの実質文字数が減ります。結果として、英数字のみは153文字単位、日本語を含むと67文字単位で分割されます。
全角・半角の“罠”:見た目が同じでも結果が違う
- 全角の数字・記号・スペース:日本語扱いになりやすく、上限70に落ちる
- 半角英数字のみ:160文字まで可能(ただし混入した1文字で一気に70へ)
- 中黒「・」、長音「ー」、波ダッシュ「〜」など:全角版はUnicode扱い
- スマート引用符(“ ” ‘ ’)や丸付き数字:Unicode扱い
「半角のつもり」でも、文中に全角スペースや“スマート引用符”が紛れ込むだけで70文字モードに切り替わることがあります。テキストのコピー&ペースト時に起きがちなので注意が必要です。
絵文字・特殊文字でさらに短くなることも
絵文字はUnicodeの中でも2文字分(サロゲートペア)として数えられる場合があり、体感上「70よりさらに短い」と感じることがあります。加えて、スキントーンや結合絵文字(家族、旗など)は複数のコードの組み合わせのため、実効的な文字数を圧迫します。機種依存文字や外字も文字化けの原因です。
実務で効く書き方と対策
- 目的文を先頭に:最初の67/70文字で要点・行動を伝える(分割されても効果を保つ)
- 英数字は確実に半角へ:日付、時間、金額、URLは半角に統一
- 危険文字を避ける:「〜」「―」「・」「全角スペース」「“ ”」は原則使わない
- 置き換え例:「〜」→「~」、「ー」→「-」、「・」→「・」(半角) など
- URL短縮で本文を節約:長いURLは短縮し、本文は説明に集中
- 絵文字は極力使わない:可読性よりも分割・文字化けリスクの方が高い
- 事前カウント:配信ツールの「GSM/Unicode自動判定」と文字数カウンタを必ず確認
- 長文は別チャネルへ:重要案内はRCS/+メッセージ、メール、チャットアプリへ誘導
よくある誤解のミニFAQ
Q. 半角カナにすれば160文字まで入りますか?
A. いいえ。半角カナはGSM 7bitに含まれず、多くの環境でUnicode扱いになります。
Q. 1文字だけ日本語を使うと全部70文字になりますか?
A. はい。日本語が1つでも混じるとUnicode判定になり、上限は70(分割時67)に切り替わるのが一般的です。
Q. 70文字を超えたら必ず結合表示されますか?
A. ほとんどの端末は結合して表示しますが、受信環境によっては分割のままになることがあります。各通の先頭に用件を置くのが無難です。
まとめ:ルールを知ればSMSはもっと届く
SMSの文字数は“見た目”ではなく“中身(エンコーディング)”で決まります。英数字のみなら160、ひらがな・漢字・全角記号・絵文字を含めば70。さらに分割時は153/67で刻まれる——この基本を押さえたうえで、半角統一・危険文字回避・URL短縮・先頭に要点、の4点を実行すれば、ムダな分割やコスト、取りこぼしを大幅に減らせます。まずは社内テンプレートを点検し、「全角スペース」「波ダッシュ」「スマート引用符」を掃除するところから始めてみてください。
























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