スマホやPCで毎日のように目にする、青地に白い「B」風のBluetoothロゴ。便利さの一方で、「なぜこの名前?」「ロゴの形って何?」という素朴な疑問は意外と解かれないままです。噂話や勘違いも多いので、ここでは起源と誕生秘話をシンプルに整理し、日常のアプリやデジタルガジェット選びに役立つ見方まで提案します。
なぜ「Bluetooth」という名前?
「Bluetooth」は10世紀のデンマーク王、ハーラル(Harald “Bluetooth” Gormsson)に由来します。彼は分断されがちだった勢力をまとめ、王国を統合した人物。無線でバラバラの機器を「つなぐ」技術の比喩として、この名がコードネームに採用され、そのまま正式名称になりました。ちなみに「Bluetooth(青い歯)」という渾名は、古語で“暗い・青黒い”を表す色感覚や、歯の変色にまつわる俗説など、諸説あります。
ロゴはルーン文字の合体だった
ロゴの正体は古代北欧のルーン文字の合字(バインドルーン)。ハーラル王の頭文字にあたるH(ᚼ:Hagall)とB(ᛒ:Bjarkan)を重ねた記号が、現在の「B」風マークです。直線的で角ばった線は、木や石に刻みやすいルーンの特徴。その幾何学的な合体が、未来的な「無線」のイメージとも相性よく、時代を超えたデザインになりました。
誕生秘話:名付け親と標準化の舞台裏
1996年、エリクソンを中心に無線接続の共通規格づくりが動き出し、インテル、ノキア、IBM、東芝などが合流して標準化が進みました。インテルのジム・カーダック氏が、北欧の歴史物語を読んだことをきっかけに「Bluetooth」をコードネームとして提案。分断された陣営をまとめた王の寓意が、メーカやOSをまたいで“つながる”規格の精神にぴったりだったのです。やがて1998年にBluetooth SIG(業界団体)が発足し、名称とロゴが広く普及していきました。
色と形が伝えるメッセージ
青い背景に白い記号という配色は、名前の「Blue」と高い視認性を両立させるデザイン上の選択。角ばった線は電波やデータの「経路」を連想させ、単純な「B」ではなく「二つのルーンが融合した印」であることが、異なる端末を橋渡しする理念を象徴しています。
よくある誤解を解く
- 「Bの頭文字」ではない:ラテン文字のBではなく、HとBのルーンの合体です。
- 「Wi‑Fiの一種」ではない:Wi‑Fiは主に高速データ通信、Bluetoothは近距離の省電力接続が得意という住み分けがあります。
- 「バイキングの兜マーク」ではない:北欧モチーフではあるものの、兜や斧の図案ではありません。
アプリやデジタルガジェットで役立つ見方
設定画面や通知バーに出るロゴは「接続の入口」の合図。ペアリングは“はじめての握手”、その後の自動接続は“顔なじみの挨拶”と覚えると直感的です。音楽系ガジェットではコーデック(AAC/aptX/LDACなど)が音質や遅延に関係しますが、まずはロゴの点灯状態と「接続先の名前」を確認するだけでもトラブルを減らせます。複数端末があるときは、製品名をわかりやすくリネームしておくのが小さなコツです。
ルーンの視点で楽しむ小ネタ
ルーンは“刻む文字”なので、直線が基本。そのためBluetoothロゴも丸みより直線が目立ちます。街で見かける看板やアプリのアイコンでも、わずかな角度の違いや線の太さで印象が変わるのに気づくはず。デザインを見る目が一段と楽しくなります。
まとめ:つながりの記憶を帯びた印
Bluetoothロゴは、古代のルーンと統合の象徴を、現代の無線体験に結びつける“橋”のようなマークです。次に青いアイコンを見かけたら、ハーラル王の物語と、ばらばらの機器を一つにする発想を思い出してみてください。きっと日常の接続作業が、少しだけ物語性を帯びて感じられるはずです。



















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