「SPF50なら絶対焼けない」「PA++++なら1日中安心」——そんな思い込みのまま日焼け止めを選んでいませんか?実は、数値の意味と“正しい塗布量”を押さえないと、本来の力は発揮されません。本稿では、SPF/PAの見方とシーン別の選び方、ムラなく塗るための量とコツを、日常で使いやすい言葉で整理します。
SPFとPAの「本当の意味」
SPFはUVB(肌表面を赤くする日焼けの主因)をどれだけ防ぐかの目安です。SPF30で約97%、SPF50で約98%のUVBをカットします。数値が上がるほど「完全」ではなく「わずかに防御率が上がる」に近いイメージです。
PAはUVA(じわじわと肌の弾力低下やくすみの原因になる波長)の防御力を「+」で示します。目安として、PA+(UVA-PF約2〜4)、PA++(約4〜8)、PA+++(約8〜16)、PA++++(約16以上)。屋外で長時間過ごす日はPA++++が安心感があります。
なお、米国などでは「ブロードスペクトラム」表示がUVA/UVBの両方を一定基準で防ぐ意味。日本のPA表示と目的は同じで、「UVAにも配慮した製品か」を確認する点が共通です。
シーン別の選び方
- 通勤・買い物など日常:SPF30前後×PA+++程度で十分。ガラス越しでも届くUVA対策としてPAの高さを意識。
- 屋外レジャー・炎天下:SPF50以上×PA++++、さらに「ウォータープルーフ」または「汗・水に強い」表示を。
- 敏感肌・赤ちゃんと一緒の日:低刺激処方(アルコール控えめ、無香料など)や「敏感肌向け」表示を選び、こまめに塗り直し。
- 化粧重視の日:下地・ファンデのSPFは“補助”。メインは日焼け止めで。合算はできない前提で考えましょう。
効果を引き出す「正しい塗布量」
SPF/PAの表示は「2mg/cm²」を塗ったときの試験値。これが意外と多めです。目安は以下。
- 顔全体のみ:液状なら約0.8〜1.2g(おおよそ0.8〜1mL)。目安は「2フィンガールール」(人差し指と中指にたっぷり2本線)。
- 顔+首:合計で約1.5mL前後(2フィンガー+首にもう半分)。
- 全身(大人):約30mL(いわゆるショットグラス1杯)。腕・脚・胴体に均等に。
テクスチャーで多少の差は出るため、最初は「少し多いかな」くらいを目安に。こすり込まず、点置き→やさしく広げ→手のひらで包んで密着させるとムラが減ります。
ムラなく塗るコツと塗り直しのタイミング
- 二度塗り法:指定量を一度にのせるとムラになりやすいので、半量ずつを2回に分けて。
- 順番:スキンケアの最後→日焼け止め→化粧下地→メイク。塗った直後は触らず、1〜3分ほどなじませる。
- 塗り直し:汗・皮脂・摩擦で落ちるため、屋外は2〜3時間ごと、汗や水に触れたらその都度。マスク着脱・タオル後も要リタッチ。
- メイク上から:乳液タイプやスティック、スポンジで軽く押さえるジェルが使いやすい。スプレーは便利だがムラになりやすいので、近すぎず広範囲に、最後は手でなじませる。
よくある誤解をサクッと解消
- SPFが高ければ塗り直し不要? → いいえ。汗・摩擦で落ちるため時間で必ず低下。数値より「適量」と「塗り直し」が効きます。
- PA++++なら焼けない? → UVA・UVBともゼロにはできません。日陰利用、帽子・サングラスなど“重ねる対策”が大切。
- 下地とファンデのSPFは足し算できる? → できません。各アイテムは単独で試験され、重ねてもSPFが倍にはなりません。
- 曇りや室内なら不要? → UVAは雲も窓も通ります。朝の一度塗り(と必要に応じて塗り直し)を習慣に。
今日からできる実践メモ
- 朝は鏡の前で「2フィンガー」を基準に顔へ、首うしろ・耳・こめかみまで忘れずに。
- 外出が長引く日はミニサイズを携帯。汗を拭いたら塗り直すのをセットに。
- 屋外レジャーは「SPF50・PA++++・耐水性」を合言葉に、衣類や小物で物理的な影も足す。
大切なのは“数字を知ること”より“数字を引き出す塗り方”。適量・ムラなし・塗り直しの3点を押さえれば、手持ちの一本でも肌はしっかり守れます。
























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