空港の滑走路番号、なんとなく不思議…を旅行者目線で解決
空港でよく目にする「16L」「27」などの滑走路番号。なんとなくルールがありそうなのに、どう読めばいいのか分かりづらい―そんなモヤモヤを解く鍵は「磁方位」と「北偏差(磁偏角)」です。本稿では、専門用語をできるだけやさしく解きほぐし、番号の仕組みと読み解きのコツを紹介します。数字の意味を知るだけで、空港の景色が地図のように立体的に見えてきます。
滑走路番号の基本ルール
- 滑走路番号は「磁北(磁石が指す北)」に対する方位を10度単位で表し、末尾のゼロを省いた2桁(01~36)で表示します。例:方位が340度なら「34」。
- 丸め方は四捨五入。例えば274度は「27」、275度は「28」になります。
- 同じ滑走路を反対向きに使うと番号は18(=180度)違います。「16」と「34」、「09」と「27」のようなペアです。
- 平行滑走路が複数ある空港では、左右中央を示すL/C/Rが付きます。例:09L/27R と 09R/27L。
- 「00」は存在せず、360度は「36」と表します。
磁方位と「北偏差(磁偏角)」ってなに?
地図で使う真北と、磁石が示す磁北にはズレがあります。このズレを「北偏差(磁偏角)」と呼び、場所や時期によって少しずつ変化します。地球の内部で起きるダイナミックな磁場の変動が原因で、長い年月のうちに地域ごとに偏り方が変わっていきます。
滑走路番号は「磁北」を基準にしているため、北偏差が変わると実際の方位と数字の関係も少しずつズレます。そのズレが大きくなったとき、世界各地の空港では番号を更新(例:27→28)することがあります。つまり、滑走路番号は地球の磁場の“ゆらぎ”を映す、動くサインなのです。
空港での読み解き方:数字が地図になる
- 数字の向き=飛行機の向き:たとえば「09」はおおむね東(90度)。「27」は西(270度)。「18」は南、「36」は北です。
- 風との関係を想像:飛行機は基本的に向かい風で離着陸するため、「09」が使われていたら今日は東から西へ風が吹いているのかも、と空の状況が読めます。
- 平行滑走路のL/R/C:展望デッキから見ると、同じ数字でも左右が違うことがあります。写真のキャプションに「09L」とある理由が分かると、観察が一段と楽しくなります。
- 標識のペア表示:「09/27」のように書かれていれば、同一滑走路の両端を示すペアだと覚えましょう。
覚えておくと便利なコツ
- 四方位を丸暗記:09=東、18=南、27=西、36=北。あとは間を10度刻みでイメージすれば、だいたいの向きがつかめます。
- 四捨五入の感覚:方位275度なら「28」、085度なら「09」。5度の境目で繰り上がるイメージです。
- スマホのコンパスは磁北基準:設定で真北補正のオン/オフが選べる場合があります。空港で方位を確認するときは、磁北が基準だと覚えておくと混乱しません。
- フライト追跡アプリと併用:アプリで「RWY 16L」と表示されたら、現地の標識や風向と照らし合わせると、離着陸の流れが立体的に見えてきます。
よくある疑問にさくっと回答
- なぜ番号が突然変わることがあるの? → 地域の北偏差が変化し、四捨五入の境目を超えたため。世界のどこかで時々起きています。
- 同じ空港なのに09と27の写真があるのは? → 同じ滑走路の両端を撮っているか、風向で運用方向が変わっているためです。
- LとRはどちら基準? → その滑走路の向きに立ったときの左右。向きを反対にするとLとRも入れ替わります。
まとめ:数字の“裏側”を知れば空港がもっと面白い
滑走路番号は、単なる記号ではなく「磁北に対する方位」を表す合理的なサインです。北偏差という地球規模の現象が静かに影響し、ときには番号の付け替えまで起こす—そんな背景を知ると、空港は一気に“生きた地図”になります。次に展望デッキやターミナルで数字を見かけたら、風、方位、そして地球の鼓動にまで思いを巡らせてみてください。























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