歩くたびにかかとが浮く、靴擦れが出やすい、走ると足首がグラつく気がする——。スニーカーの悩みはサイズだけでなく、紐の結び方でも変わることがあります。そこで提案したいのが、履き口の「追加穴」を使うヒールロック結び。難しい道具は不要で、結び方を少し変えるだけ。フィット感の改善と安定感の向上をねらえる小さな工夫です。
ヒールロック結びとは?
多くのスニーカーに用意されている最上段の「追加穴(補助アイレット)」を使い、履き口に小さなループを作って紐を通す方法です。足首まわりに適度なテンションをかけ、かかとの浮きを抑えやすくします。見た目は通常の結び方と大きく変わらず、すぐ試せるのが魅力です。
期待できる主な効果
- かかと抜けの軽減:履き口周りが締まり、足が前にズレにくくなる。
- 足首の安定感:上部でホールドが補強され、方向転換や坂道でのぐらつきが抑えられやすい。
- 紐の緩みにくさ:ループが「ストッパー」の役割をして、ほどけ・緩みを防ぎやすい。
- 甲の圧を分散:下はゆるめ、上だけ締める調整が可能で、窮屈さを避けやすい。
やり方(追加穴を使った基本ステップ)
- 通常どおり上から2番目の穴まで紐を通す。
- 左右それぞれで、追加穴に外側から内側へ紐を通し、小さなループを作る。
- 左の紐先を右のループへ、右の紐先を左のループへ交差させて通す。
- 足をかかと側へしっかり引いてから、ループがつぶれない程度にキュッと締める。
- 最後に通常どおり蝶結び。ほどけやすい人はダブルノットもおすすめ。
ポイントは「強く締めすぎない」こと。くるぶし周りが痛む、しびれる、靴下に深い跡がつく場合は緩めて調整しましょう。
向いているシーン/向いていないシーン
- 向いている:ランニングやハイキング、通勤通学、長時間の歩行。かかと抜けや靴擦れが気になるとき。
- 様子を見たい:甲が高く窮屈に感じやすい人、薄めのアッパーで硬く締まりやすい靴。まずは弱めのテンションで試すのが安心。
フィット調整のコツ
- 段階締め:つま先側はゆったり、足首側だけヒールロックで締めると、圧迫感を避けつつ安定感を得やすい。
- 左右差OK:利き足や足幅の違いに合わせて、締め具合を左右で変えてもよい。
- ソックスで微調整:やや緩い靴は厚手、タイトな靴は薄手のソックスでバランスを取りやすい。
- 紐の素材:滑りやすい丸紐はほどけやすいことも。平紐やワックス加工の紐に替えると安定しやすい。
よくある誤解と小ワザ
- 追加穴は飾りではない:メーカーはフィット調整の選択肢として用意していることが多い。
- 強ければ良いわけではない:締めすぎは疲れの原因に。着地のたびに違和感があるなら、一段緩めるか通常結びに戻す。
- 結び直しは面倒?:ヒールロックは慣れると数十秒。外出前だけ使うなど、シーンごとに使い分けるのも現実的。
- サイズ選びが前提:明らかに大きすぎ・小さすぎる靴は結び方では救いにくい。基本のサイズ・ワイズが合っていることが大切。
まとめ:小さな工夫で、大きな安心感
ヒールロック結びは、追加穴を活かして「ここぞ」を引き締めるだけのシンプルなテクニックです。かかと浮きや足首の不安定感が気になるときにまず試す価値があります。締め付けは最小限から始め、動きながら微調整するのがコツ。日常の歩行から軽い運動まで、足元のストレスを減らしてくれる“見えないサポート”として取り入れてみてください。違和感や痛みが出る場合は無理をせず緩める、別の結び方に変える、販売員や専門店に相談するなど、快適さを最優先に。



















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