配当や株主優待を狙って株を買ったのに「もらえなかった」という声は少なくありません。原因の多くは、権利確定日と権利落ち日の関係、そして売買の受け渡し日(T+2)の理解不足です。本稿では、カレンダー上のポイントと、価格変動・税金・優待の注意点をやさしく整理し、実務的に迷わないためのコツを提案します。
権利確定日と権利落ち日の違い
- 権利確定日(基準日):配当・優待をもらえる株主を確定する日。
- 権利落ち日:この日以降に買っても、その回の配当・優待の権利は得られません。通常、権利確定日の2営業日前に設定されます(国内株はT+2受け渡し)。
- 権利付き最終日:権利をもらうために買っておくべき最終日。権利落ち日の前営業日です。
ポイントは「受け渡しが2営業日後(T+2)」というルール。基準日に株主名簿へ反映されるには、権利付き最終日までに約定しておく必要があります。
カレンダーでの考え方と例
例:3月末が権利確定日の銘柄。3月31日が日曜なら、権利落ち日はその2営業日前の木曜、権利付き最終日は水曜になります。つまり、水曜までに買えば、その回の配当・優待の対象です。祝日や連休が挟まると日付が前倒しされるため、必ず証券会社の「権利付き最終日カレンダー」で確認しましょう。
価格はどう動く?よくある誤解
- 権利落ち日には理論上、配当分だけ株価が下がるとされますが、実際の価格は需給や地合いで大きくブレます。
- 優待目的の買いが集中していた銘柄は、権利落ち日に下げが大きくなることも。
- 短期で「配当分得する」は必ずしも成り立ちません。売買コストや税金、値動きの不確実性を踏まえて判断を。
優待ならではの注意点
- 必要株数:100株・500株など段階的な基準が多い。端株では対象外のことも。
- 継続保有条件:6カ月・1年などの要件を設ける企業が増加。単発で基準日だけ保有しても対象外の場合があります。
- 申込手続き:カタログ選択型は締切あり。案内の見落としに注意。
- 内容変更・廃止リスク:業績次第で見直しあり。最新のIR(適時開示)をチェック。
税金と配当の受け取り
国内株の配当には原則20.315%の税金がかかります(所得税・住民税等の合計、復興特別所得税を含む)。NISA口座など口座区分により取扱いが異なる場合があるため、証券会社の表示や年間取引報告書を確認しましょう。配当の受け取り方法(株式数比例配分方式・登録配当金受領口座方式など)も事前に設定しておくとスムーズです。
調べ方と実務のコツ
- 企業IR(決算短信・配当予想・株主優待ページ)、TDnet、証券会社の権利付き最終日一覧で日付をクロスチェック。
- 祝日や月末・年度末は特にズレやすい。早めにスケジュール化。
- 取引は余裕を持って。直前はスプレッド拡大や出来高偏在に注意。
- クロス取引(つなぎ売り)などの手法には、費用とリスクをよく理解してから臨む。
まとめ:迷わないための3ステップ
- 1)まず「権利確定日」を確認する。
- 2)そこから逆算して「権利落ち日(2営業日前)」「権利付き最終日(前営業日)」を押さえる。
- 3)優待は必要株数・継続保有条件・申込締切をチェックし、税金や費用も踏まえて計画する。
配当・優待は、日付のルールを理解すれば難しくありません。カレンダーとチェックリストを味方に、落ち着いて準備していきましょう(本稿は一般的な解説であり、投資判断はご自身でご確認ください)。





















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