主要都市における家賃負担率（手取り収入に占める家賃の割合）の比較
家賃負担率とは、「手取り収入（可処分所得）に対して家賃がどの程度を占めているか」を示す指標です。一般に、家賃が手取りの30％を超えると「家計にとって負担が重い」とされ、40％を超えると生活費や貯蓄を圧迫する危険水準と言われます。
本稿では、利用可能な国際統計や各都市の調査結果をもとに、代表的な主要都市の家賃負担率を「一般世帯レベル」で比較し、さらに「典型的な単身世帯」を想定した概算ベースの家賃負担率も算出し、分かりやすく整理しました。
（注：実際の手取りベースの統計は国際比較データが限られるため、主に「税込み・可処分所得に近い水準」を手取りに近似して算出しています。）
| 項目 | データ | 備考 |
| 主要都市の家賃負担率 比較表（一般世帯ベース・中央値等） | ||
| ニューヨーク市（一般世帯） | 年次：2025年Q2（Realtor.com 分析） 指標：典型的世帯の媒介賃料・典型的所得 月額家賃：約3,491ドル／月 世帯年収：約76,114ドル／年 家賃負担率：約55％ | realtor.com |
| ニューヨーク州全体（参考・一般世帯） | 年次：2024年（USAFacts／ACS） 対象：賃貸世帯の中央値 月額家賃：約1,634ドル／月 家賃負担率：約33.5％（州全体） | USAFacts |
| ロンドン（一般世帯） | 年次：2023〜2024年推計 月額家賃：2,000〜2,200ポンド程度 世帯年収：50,000〜55,000ポンド／年 家賃負担率：約45〜50％（推計） | ※1 公的統計＋民間賃料データの近似 |
| パリ（一般世帯） | 年次：2023年頃推計 月額家賃：1,200〜1,400ユーロ程度 世帯年収：35,000〜38,000ユーロ／年 家賃負担率：約40〜45％（推計） | ※2 INSEE等＋市場データ |
| シドニー（一般世帯） | 年次：2023〜2024年推計 月額家賃：3,000〜3,300豪ドル程度 世帯年収：約90,000豪ドル／年 家賃負担率：約40〜45％（推計） | ※3 ABS等＋市場データ |
| トロント（一般世帯） | 年次：2023〜2024年推計 月額家賃：2,600〜2,800加ドル程度 世帯年収：約75,000加ドル／年 家賃負担率：約40〜45％（推計） | ※4 CMHC等＋市場データ |
| 東京23区（一般世帯） | 年次：2023〜2024年推計 月額家賃：約11〜13万円 手取り：月35〜40万円（年収500〜550万円相当） 家賃負担率：約28〜35％（推計） | ※5 家計調査等＋民間賃料 |
| 大阪市（一般世帯） | 年次：同上 月額家賃：約8〜9万円 手取り：月28〜32万円 家賃負担率：約25〜32％（推計） | ※6 家計調査等＋民間賃料 |
| 典型的な単身世帯イメージによる家賃負担率（概算） 前提：手取り年収＝総収入の約75％ | ||
| ニューヨーク市（単身） | 想定年収：80,000ドル／年 手取り年収：約60,000ドル（約5,000ドル／月） 想定月額家賃：約3,000ドル 家賃負担率：約60％ | 単身は特に負担が大きい |
| ロンドン（単身） | 想定年収：50,000ポンド／年 手取り年収：約37,500ポンド（約3,125ポンド／月） 想定月額家賃：約1,800ポンド 家賃負担率：約58％ | — |
| パリ（単身） | 想定年収：35,000ユーロ／年 手取り年収：約26,250ユーロ（約2,188ユーロ／月） 想定月額家賃：約1,100ユーロ 家賃負担率：約50％ | — |
| シドニー（単身） | 想定年収：80,000豪ドル／年 手取り年収：約60,000豪ドル（約5,000豪ドル／月） 想定月額家賃：約2,200豪ドル 家賃負担率：約44％ | — |
| トロント（単身） | 想定年収：70,000加ドル／年 手取り年収：約52,500加ドル（約4,375加ドル／月） 想定月額家賃：約2,000加ドル 家賃負担率：約46％ | — |
| 東京23区（単身） | 想定年収：400万円／年 手取り年収：約300万円（約25万円／月） 想定月額家賃：約9万円 家賃負担率：約36％ | — |
| 大阪市（単身） | 想定年収：350万円／年 手取り年収：約260万円（約21.7万円／月） 想定月額家賃：約7万円 家賃負担率：約32％ | — |
出典元情報
– Realtor.com Economic Research「New York City Rental Report 2025Q2」（NYCの家賃・家賃負担率 55％ 等）https://www.realtor.com/research/nyc-q2-2025-rent/?utm_source=openai
– USAFacts「How much do households in New York spend on rent?」（ニューヨーク州における家賃負担率 33.5％）https://usafacts.org/answers/how-much-do-households-spend-on-rent/state/new-york/?utm_source=openai
– OECD「Affordable housing: Society at a Glance 2024」「Affordable housing | OECD」（各国における住宅費負担・低所得層の家賃負担状況）https://www.oecd.org/en/publications/society-at-a-glance-2024_918d8db3-en/full-report/affordable-housing_1a2ec30f.html?utm_source=openai
– 日本：総務省統計局「家計調査」、国土交通省「住宅・土地統計調査」、民間調査会社（不動産ポータル等）の賃料データをもとにした推計
– その他各国統計局・住宅関連公的機関（INSEE、ONS、ABS、CMHCなど）と民間賃貸市場レポートを組み合わせた推計値
【読み方のポイント】
・ニューヨーク、ロンドン、パリなど欧米の大都市では、単身でも家賃が手取りの50〜60％前後に達しやすく、強い家賃負担が生じやすい。NYCでは最新分析で「典型的世帯の家賃負担率が約55％」。
・東京23区は、一般世帯ベースでは30％前後に収まるケースが多い一方、単身では35％前後まで上昇。「安くはないが、NY・ロンドンほど極端ではない」ポジション。
・OECDの分析では、多くの国で低所得層の民間賃貸は40％超の家賃負担が一般化。大都市ほど傾向が強い。
・為替・物価・税制（社会保険料）・住戸タイプ（立地/築年/面積）により実際の負担率は変動する点に留意。
※1〜6：ロンドン・パリ・シドニー・トロント・東京・大阪は、各国統計局・OECD・住宅関連公的資料と民間賃料データを組み合わせた近似値で、レンジ表示（推計）としています。
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