オンライン診療の利用状況まとめ【日本と海外の最新データ】
コロナ禍をきっかけに一気に広がったオンライン診療(電話・ビデオ通話等を用いた診察)は、現在どの程度利用されているのでしょうか。本稿では、日本国内の最新調査を中心に、利用率・認知度・利用意向・医療機関側の導入状況、さらに海外(特に米国・世界)の動向もあわせて整理しました。一般の方にもイメージしやすいよう、主要な数値を表形式でまとめています。

| 項目 | データ | 備考 |
| 日本-オンライン診療認知率 | 64.1%|GO TO MARKET(2024年6月) | 「オンライン診療を知っている」割合。出典 |
| 日本-オンライン診療利用率(経験あり) | 12.3%|同調査(全国20〜59歳、n=301) | 一度でも利用したことがある人の割合。出典 |
| 日本-直近1年の利用率 | 約2%(全体)|マイボイスコム(2024年10月実施) | 10・20代は約7%と高め。出典 |
| 日本-「知っているが未利用」 | 8割弱|マイボイスコム(2024年10月) | 認知は高いが実利用は限定的。出典 |
| 日本-オンライン診療の利用意向 | 全体で約5割|LINEリサーチ(2023年5月) | 現利用率約4%に対し意向は高い。出典 |
| 日本-女性10〜20代の利用意向 | 57%|LINEリサーチ(2023年5月) | 若年女性ほど前向き。出典 |
| 日本-現在の利用率(LINE調査) | 約4%(18〜59歳)|2023年 | 2023年時点の利用状況。出典 |
| 日本-未利用理由1位 | 「オンライン診療をよく知らない」36.0%|ネオマーケティング(2024年11月、n=1,000) | 情報・仕組み理解の不足。出典 |
| 日本-その他の未利用理由 | 「対面の方が安心」「症状を伝えにくい」など|同上 | オンライン特有の不安感。出典 |
| 日本-利用経験者の継続意向 | 79.2%|ネオマーケティング(2024年11月) | 一度使うと継続意向が高い。出典 |
| 日本-利用のきっかけ・理由 | 「かかりつけ医が実施」「待ち時間・通院時間をかけたくない」各約25%|マイボイスコム(2024年10月) | 「遠方の医師」「薬の配送」も2割強。出典 |
| 医療機関-オンライン診療導入率 | 15.0%(電話診療含む、2021年6月末)|総務省「情報通信白書」 | 医療機関全体でまだ少数。出典 |
| 医療機関-オンライン診療の届出率 | 約22.3%|厚労省 2024年度改定 影響検証調査 速報 | 施設基準を届出している割合。出典 |
| 医療機関-今後届出意向あり | 11.9%|同上 | 将来導入の検討層。出典 |
| 医療機関-届出意向なし | 65.7%|同上 | 当面は導入しない医療機関が多い。出典 |
| 医療機関-導入しない理由1位 | 「患者ニーズがない/少ない」55.7%|同上 | 需要の見えづらさ。出典 |
| 医療機関-導入しない理由2位 | 「システム導入・運用コストが高い」47.5%|同上 | 初期費用・維持費が壁。出典 |
| 医療機関-導入しない理由3位 | 「メリットが手間やコストに見合わない」45.0%|同上 | 効率・収益性への懸念。出典 |
| 医療機関-導入後に診療件数増加を実感 | 約25%|日本テレネット(2024年10月) | 導入効果を感じる施設は約4分の1。出典 |
| 医療機関-オンライン診療初期導入費用 | 平均78万円|厚労省 影響検証調査 速報 | システム・機器の平均初期コスト。出典 |
| 患者側-認知の広がり | 認知率6〜8割台|複数調査 | 仕組み・費用・利用方法の理解不足が残る。出典 |
| 患者側-実利用率 | 生涯1〜2割弱、直近1年2%前後|複数調査 | コロナ禍ピーク時からは落ち着くも一定の継続。出典 |
| 患者側-利用意向 | 約半数が「今後利用したい」|LINEリサーチ | 若年層・女性で高い傾向。出典 |
| 患者側-満足度/継続意向 | 利用経験者の約8割が継続意向|ネオマーケティング | 初回利用のハードルが課題。出典 |
| 患者側-未利用の主因 | 情報不足・対面志向・伝達不安|ネオマーケティング | 不安解消と具体的情報提供が鍵。出典 |
| 海外-米メディケア受給者のテレヘルス利用(2023年) | 伝統的メディケアの「10%超」が利用|Axios(2025年2月) | ピークから減少も定着。出典 |
| 海外-コロナ初期のメディケア利用(2020年) | 約半数がテレヘルス利用|TIME(2025年) | 短期間で急速に普及。出典 |
| 海外-米国成人の月次テレヘルス利用 | 成人の約22%が月1回利用(2023年)|サンアントニオ報道 | メンタルヘルスでの利用が多い。出典 |
| 海外-インドの公的テレメディシン | 年数千万人規模での実績|各州事例 | 地方・農村部のアクセス改善。出典 |
| 日本 vs 海外の要旨 | 日本は認知高いが実利用は限定的/米国は10%超で定着傾向 | 制度・報酬設計の差が影響。日本は届出医療機関約2割。参考 |
【出典元情報(抜粋)】
・株式会社GO TO MARKET「オンライン診療の利用経験に関する調査」(2024年6月) PR TIMES
・マイボイスコム「オンラインでの医療相談・診察に関する調査」(2024年10月実施) PR TIMES
・ネオマーケティング「オンライン診療に関する調査」(2024年11月、n=1,000) PR TIMES
・LINEリサーチ「今と近未来の流行予想・オンライン診療編」(2023年5月) PR TIMES
・総務省「令和4年版 情報通信白書」内データ(2021年6月末、導入率15.0%) PR TIMES
・厚生労働省「2024年度診療報酬改定 影響検証調査 速報」(届出率22.3%、初期費用平均78万円 等)※日本医事新報社記事経由 日本医事新報社
・日本テレネット「オンライン診療の現状と課題に関する調査」(2024年10月) PR TIMES
・公益社団法人 東京都医師会「オンライン診療に関するアンケート調査」(2022年度) 東京都医師会
・米国のテレヘルス利用に関する報道(Axios, TIME ほか、2023〜2025年) Axios / TIME
・インドなど各国の公的テレメディシン事例 Times of India
総じて、日本では「存在は知っているが使ったことがない」層が厚く、初回利用のハードル(情報不足・不安)がボトルネックです。一方で、一度使えば継続意向は高く、利便性体験の提供と周知が普及のカギとなります。医療機関側では患者ニーズの見えづらさや費用対効果への懸念が導入の壁であり、制度面の後押しや運用負担を下げる仕組みづくりが重要です。海外、とりわけ米国ではコロナ後も10%超の利用が定着し、政策・報酬設計が普及度に大きく影響している点が示唆されます。
























この記事へのコメントはありません。