メンタルヘルス相談件数の推移:日本の主な窓口の動きと背景
日本では、自殺予防や職場の悩みなど、メンタルヘルスに関する相談窓口が複数整備されてきました。近年は「相談件数そのもの」は高止まり〜微減傾向にある一方で、1件あたりの相談時間の長期化や、自殺をほのめかす深刻な相談の割合の高さが指摘されています。また、相談ニーズは大きいにもかかわらず、相談員不足により「電話がつながりにくい」「受けきれない」といった課題も各地で共通しています。ここでは、公開されている代表的な統計から、日本のメンタルヘルス相談件数の推移をわかりやすく整理します。

| 項目 | データ | 備考 |
| 総合労働相談コーナー(厚労省)相談件数 | 2019:約118万件 / 2023:5年連続120万件超 | 解雇・雇止め、パワハラ、メンタル不調等を含む。高止まり傾向。 |
| 精神障害の労災請求(過労死等補償) | 2010年代前半:年1,000件前後 / 近年:増加〜高止まり | 長時間労働・パワハラ等が背景。年報で毎年公表。 |
| いのちの電話(全国) | 年間のべ数十万件規模/電話・フリーダイヤル・メール・チャット | 相談手段は多様化。一方で相談員不足により「つながりにくさ」も。 |
| 栃木いのちの電話 | 2017:26,107件 → 2023:21,527件(自殺傾向13.1%) | ピーク後は微減も、長期で高水準を維持。 |
| 大分いのちの電話 | 2024:年間9,223件(1日平均25.2件)/自殺にふれた電話11.7% | 相談員減少の影響で件数はやや減少も、内容は依然として重い。 |
出典元情報
厚生労働省「こころの耳/メンタル情報Now・過労死等の労災補償状況」 / 厚労省:個別労働紛争・総合労働相談関連 / 日本いのちの電話連盟 / 大分いのちの電話 / 下野新聞:栃木いのちの電話 2023年まとめ / 朝日新聞:自殺予防電話相談の概観 / 埼玉新聞:いのちの電話の実態(相談時間・自殺傾向率)
総合労働相談や自殺予防の電話・チャット相談は、コロナ禍を経ても高水準で推移し、内容は長期化・深刻化する傾向が続いています。若年層では非対面の手段選好が強まり、メール・チャットに高リスク相談が集中する一方、相談員不足による「つながりにくさ」がボトルネックです。量(件数)だけでなく、応答率や1件あたり時間、深刻度を踏まえた人員配置・デジタル窓口の拡充が、全国的な相談体制の底上げに不可欠といえます。
























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