結婚式でおそろいのドレスを着たブライズメイドたちが横一列に並ぶ光景は、とても華やかで写真映えもします。しかし、「なぜ同じドレス?」「色やデザインに決まりはあるの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
実はこの「同じ衣装でそろえる」という習慣には、ちょっと不思議でスピリチュアルな由来がある、という説が語り継がれています。
この記事では、「ブライズメイドが同じ衣装を着るのは、悪霊を欺くためだった」という有名なエピソードの真相や歴史的背景を、できるだけわかりやすく整理してご紹介します。また、現代の日本の結婚式で、このユニークな由来をどう楽しめるかというヒントもあわせてお伝えします。
ブライズメイドとは?花嫁の「友人代表」以上の存在
まずは、そもそもブライズメイドとはどんな役割なのかを整理しておきましょう。
- 花嫁のサポート役:ドレスの裾を整えたり、ブーケや小物を預かったり、当日の身の回りのお世話をする。
- 心の支え:緊張する花嫁のそばにいて、リラックスさせたり励ましたりする存在。
- 結婚の証人的な立場:友人代表として、2人の門出を祝福する象徴的なポジション。
日本では「仲の良い友人が同じドレスで並ぶ、オシャレな演出」というイメージが強いですが、もともとはもっと宗教的・魔よけ的な意味合いがあったと言われています。
「悪霊を欺くために同じ衣装」という有名な説
ブライズメイドの起源として、特に有名なのが次のような説です。
「花嫁は幸せの象徴であり、悪霊や邪悪なものに狙われやすい存在と考えられていた。
そこで、花嫁と同じような衣装の若い女性たちを横に並ばせることで、悪霊に『どれが本当の花嫁かわからない』と思わせて守ろうとした。」
この考え方は、以下のような古い価値観とつながっています。
- 昔のヨーロッパでは、結婚は家と家の大きな契約であり、特別な祝福の対象だった
- 同時に、幸せな出来事は悪いものから嫉妬されると信じられていた
- そのため、結婚式は宗教的な儀式+魔よけの意味がセットになっていた
つまり、ブライズメイドは最初、「花嫁をお祝いする友人」というより、花嫁の身代わりや分身としての“守り役”の面が強かったとされるのです。
本当に悪霊対策だった?歴史的背景をもう少しだけ
「悪霊を欺く」説はとても印象的ですが、どこまで本当なのかは歴史家の間でも意見が分かれます。ただ、いくつかの要素が組み合わさって、現在のようなイメージになったと考えられています。
古代ローマ〜中世ヨーロッパの影響
古代ローマの結婚式では、花嫁と似たような衣装を着た女性が複数並んだ記録があり、これがブライズメイドの原型と見る説があります。この時代も、悪霊から花嫁を守るためににぎやかに人を集め、服装を似せたという考え方がありました。
中世に入ると、キリスト教の影響で結婚式はより宗教色の強い儀式となり、「神の前での契約」+「悪しきものからの防御」という二重の意味を持つようになります。ここで、花嫁のそばに立つ若者たちは、神への誓いの証人であると同時に、悪霊を寄せつけない役目も期待されていたとされています。
「同じ衣装」は、身分と秩序の表現でもあった
また、昔のヨーロッパの社会は、身分や階級の差がはっきりしていました。
そんな中で同じようなドレスを着て並ぶことは、
- 「この人たちは同じ立場・同じグループの人間だ」という目印
- 花嫁の家が、これだけの人を動かせる力とつながりを持っている、というアピール
にもなりました。
つまり、魔よけだけでなく、社会的なメッセージも込められていた可能性があるのです。
なぜ白いドレスじゃないの?花嫁との「差」のつけ方
現代の欧米では、花嫁は白のウェディングドレスを着て、ブライズメイドはカラードレスでそろえるのが一般的です。これは、
- 純白のドレスは花嫁だけの特権とする文化が定着した
- ブライズメイドは花嫁を引き立てる「額縁」のような役割を担うようになった
という変化によるものと考えられています。
それでも、色やデザインをそろえる習慣が残っているのは、
- 「一体感があり、写真映えする」実用的な理由
- 昔ながらの魔よけや縁起担ぎの名残を、どこかで大切にしている感覚
が重なっているからかもしれません。
日本の結婚式で「悪霊を欺く」ストーリーをどう活かす?
日本では、ブライズメイドを正式に立てない結婚式も多いですが、最近は取り入れるカップルも増えています。そんなとき、ただ「おしゃれだから」という理由だけでなく、由来のストーリーも一緒に楽しむのもおすすめです。
- プロフィールブックに「ブライズメイドの起源」のミニコラムを載せる
- 司会者に「同じ衣装は、古くは悪霊から花嫁を守る意味がありました」と紹介してもらう
- 「今日は3人で、あなたをしっかり守るからね」と花嫁の友人同士で笑い合う
といった形で取り入れると、ゲストの会話のきっかけにもなります。
また、衣装を完全に同じにしなくても、
- 同じ色味で統一する
- 同じ花を使ったリストブーケや髪飾りをつける
- アクセサリーだけおそろいにする
など、「さりげないおそろい」でも雰囲気を楽しめます。「私たちが一緒にあなたを守るよ」という気持ちが共有できれば、由来のエッセンスは十分に生きてきます。
ストーリーを知ると、演出はもっと面白くなる
ブライズメイドが同じ衣装を着る理由は、単なるファッションではなく、
- 花嫁を悪霊から守ろうとした昔の人の想像力
- 結婚という儀式を特別なものとして重んじてきた歴史
- 家族や友人が一体となって祝福する文化
と深くつながっています。
どこまでが史実で、どこからがロマンチックな伝承なのかははっきりしない部分もありますが、そのあいまいさも含めて、結婚式を彩る「物語」として楽しむ価値は大いにあるでしょう。
これから結婚式を考える方は、ブライズメイドの衣装や立ち位置に、こうした由来のストーリーを少しだけ重ねてみてください。
きっと、写真の一枚一枚や、友人たちとの時間が、ちょっとだけ特別に感じられるはずです。























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