先進国の裁判件数比較

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先進国の裁判件数比較:人口10万人あたりで見る主要国の「訴訟の多さ」

「日本は訴訟が少ない国」とよく言われますが、実際に他の先進国と比べるとどの程度違うのでしょうか。本稿では、国際機関(主に欧州評議会CEPEJやEU Justice Scoreboardなど)の統計を基に、「人口10万人あたりの裁判件数(主に第一審の民事・商事事件件数)」を中心に、主要先進国の水準を比較しやすい形に整理しました。

利用できる統計は国・制度ごとに定義が微妙に異なるため、ここでは「傾向をつかむための近似値」として、直近数年の代表値を概算し、一般の読者にも分かりやすいレベルに丸めて提示しています。

表:主要先進国の裁判件数比較(概算・人口10万人あたり)
国・地域 指標のイメージ 裁判件数の水準(人口10万人あたり/年・概算) 相対評価 補足コメント
日本 全裁判所の新受理事件数(民事・家事・刑事等)を人口で割ったイメージ
約 800〜1,000 件
かなり少ない 訴訟そのものが少なく、軽微な紛争は行政処分・示談・ADRで処理される傾向。
ドイツ 第一審の民事・商事事件、労働・行政などを含む広めの民事系事件
約 2,000〜2,500 件
中程度〜やや多い 企業間紛争や労働・行政訴訟が比較的裁判所まで到達。
フランス 第一審刑事事件+民事事件の合計ベース
約 2,500〜3,000 件
多い 刑事が多く、民事も含めると高水準。Statista
イギリス(主にイングランド・ウェールズ) 民事・商事訴訟(County/High Court)+刑事下級裁判所事件
約 2,000〜3,000 件
多い コモンロー国として契約・損害賠償訴訟が多く、国際商事紛争も集積。
アメリカ合衆国 連邦+州裁判所の民事・刑事第一審事件
約 5,000〜7,000 件
最も多い水準 損害賠償・集団訴訟など民事が極端に多く、刑事も人口比で高水準。
カナダ 州裁判所ベースの民事・刑事第一審事件
約 1,500〜2,000 件
中程度 米国ほどではないが、訴訟利用は比較的活発。
オーストラリア 州・準州裁判所の民事・刑事事件
約 1,500〜2,000 件
中程度 刑事の起訴率が高く、民事も一定数が裁判へ。Wikipedia
北欧(フィンランドなど) 民事・行政・刑事事件を含む第一審事件
約 1,000〜1,500 件
中程度〜やや少なめ 行政・社会保障関連の争いが一定数裁判に至る。参考
韓国 民事・家事・行政・刑事を含む第一審事件
約 3,000〜4,000 件
かなり多い 経済紛争や家事・相続で裁判利用が高いとされる。
EU平均(27か国) EU Justice Scoreboardの「litigious civil and commercial cases」など
約 1,500〜2,000 件
中心的な水準 日本はこのEU平均の半分以下の水準と推計。EU Monitor
注)各国で統計の定義(第一審のみ/控訴審含む、民事のみ/刑事含む 等)が異なり、掲載値は直近数年(概ね2019〜2023年頃)の公開値を基にした概算レンジです。厳密なランキングではなく、規模差のイメージ把握を目的としています。

出典元情報
・日本の裁判所構成と事件種別(地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の役割) 国立国会図書館「司法判例情報(Research Navi)」:https://ndlsearch.ndl.go.jp/en/rnavi/politics/hanrei
・日本の民事・家事・刑事事件の件数(年次推移、裁判所種別別) 最高裁判所『司法統計年報』各年版(民事編・刑事編・家事編)
・日本の事件件数(二次データ)Statista:Number of cases at courts in Japan by type ほか関連ページ
・欧州の民事・商事事件数、EU平均値 欧州委員会「EU Justice Scoreboard 2025」:https://www.eumonitor.eu/…
・フランスの刑事事件数と欧州平均との比較 Statista:Criminal cases in first instance per 100 inhabitants
・その他各国(ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、北欧諸国、韓国)の裁判件数・訴訟利用状況:各国司法統計(司法省・裁判所年報)、OECD・欧州評議会CEPEJの司法統計、国際法律事務所・調査会社の比較レポート等を参照し、人口10万人あたりへ換算・概算。

解説・読み解き
・日本は主要先進国の中で人口当たりの「裁判に乗る件数」が際立って少なく、EU平均の半分以下とみられます。背景には、行政処分・示談・ADRの活用、訴訟コストや時間・社会的コストの回避志向、紛争の早期調整文化などが指摘されます。
・ドイツやフランス、イギリスは、労働・行政・商事などで裁判所利用が比較的活発。アメリカは民事の提訴が極めて多く、刑事の件数も高水準で、人口当たりでは突出します。
・韓国は民事・家事・行政を含む全般で裁判利用が高く、日本とのギャップが大きい点が特徴です。

前提・注意点
・国ごとに統計の定義やカバレッジ(第一審のみか、控訴審を含むか、民事のみか刑事を含むか 等)が異なるため、本稿の数値は傾向をつかむための概算レンジです。
・同一国でも年度によって変動し、制度改正や人口動態、起訴・受理の運用などの影響を受けます。
・国際比較では、訴訟に至る前段(行政処分、和解、調停、仲裁、苦情処理制度等)の厚みの差が数字に表れやすい点にも留意が必要です。

※ 本稿は、様々な生成AIに各テーマについて尋ねた内容を編集・考察したものです。
AIインサイト編集部

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