ポリフェノールは「体に良い」「老化を防ぐ」といったイメージが強く、毎日のようにお茶やワイン、サプリで積極的に摂っている人も多いでしょう。しかし、摂り方を間違えると「鉄欠乏」を招き、隠れ貧血の原因になることがあります。健康や美容のために続けているつもりが、実はスタミナ不足や冷え、肌荒れの一因になっているかもしれません。
この記事では、ポリフェノールの摂り過ぎがどうして鉄欠乏につながるのか、その仕組みと、毎日の生活で気をつけたい「賢い飲み方・食べ方」のポイントをわかりやすく解説します。
ポリフェノールってそもそも何?
ポリフェノールは、植物に含まれる苦みや渋み、色のもとになる成分の総称です。代表的なものとして、以下のようなものがあります。
- お茶(緑茶・紅茶・ウーロン茶など)に多い「カテキン」「タンニン」
- 赤ワインやブドウに多い「レスベラトロール」「アントシアニン」
- チョコレートやココアに含まれる「カカオポリフェノール」
- 大豆製品に含まれる「イソフラボン」
これらは抗酸化作用を持ち、細胞のサビつきを防いだり、血管や肌を守ったりすると言われています。そのため「ポリフェノールは多ければ多いほど良い」と思いがちですが、そこに落とし穴があります。
なぜポリフェノールで鉄欠乏が起こるの?
ポイントになるのは、ポリフェノールの中でもとくに「タンニン」と呼ばれる成分です。タンニンは緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒー、赤ワインなどに多く含まれ、独特の渋みの原因になっています。
タンニンは腸の中で、食べ物に含まれる「鉄」とくっついて固まりやすい性質があります。一度くっついてしまうと、体が鉄を吸収しにくくなってしまいます。その結果、いくら鉄を含む食材を食べていても、
- お茶やコーヒーを食事中・食後すぐにたくさん飲んでしまう
- 鉄サプリをカテキンたっぷりの飲み物で流し込んでいる
といった習慣があると、「入ってくる鉄」より「吸収されない鉄」の方が多くなり、じわじわと鉄欠乏に傾いていくのです。
この状態は、検査で「貧血」と出ない場合でも、
- なんとなく疲れやすい
- 立ちくらみが多い
- 肌がくすみやすい、クマが取れない
- 髪が抜けやすい・パサつく
といった不調につながることがあります。
特に気をつけたい人は?
ポリフェノールの摂り過ぎによる鉄欠乏の影響を受けやすいのは、もともと鉄が不足しやすい人です。例えば:
- 月経がある女性(とくに出血量が多い人)
- 妊娠を考えている人、妊娠中・授乳中の人
- ダイエット中で食事量が少ない人
- 肉・魚をあまり食べない人(ベジタリアン、偏食気味の人)
- 成長期の子ども・思春期の女子
- 持久系スポーツ(ランニング、ダンスなど)をよく行う人
これらに当てはまる人が、さらに「食事中は必ずお茶」「コーヒーを1日5杯以上」「赤ワインを毎晩たっぷり」といった生活をしていると、知らないうちに鉄が不足してしまう可能性が高くなります。
どれくらい飲むと“摂り過ぎ”になるの?
ポリフェノールやタンニンの「これ以上は絶対にダメ」という明確な基準はありませんが、
- 濃いお茶やコーヒーを、毎食後に何杯も飲む
- 水分補給のほとんどがお茶やコーヒー、紅茶になっている
- 鉄サプリや鉄強化食品と、ポリフェノール飲料を一緒に摂る
といった習慣がある場合は、「鉄の吸収を邪魔しているかも」と一度見直してみる価値があります。
逆に、1日数杯の緑茶やコーヒーを楽しむ程度であれば、すぐに大きな問題になることは少ないと考えられています。大切なのは、タイミングとバランスです。
鉄欠乏を防ぐ“賢いポリフェノールの摂り方”
ポリフェノールを完全にやめる必要はありません。むしろ上手に付き合えば、健康や美容の強い味方になります。次のポイントを意識してみてください。
- 食事中・食後30分は、濃いお茶やコーヒーを控える
鉄をしっかり吸収したい食事(肉・魚・レバー・ほうれん草などを食べるとき)は、食事中と食後30分〜1時間くらいは水や白湯にしておくと安心です。 - 鉄サプリは水で飲む
鉄のサプリや鉄強化ドリンクを飲むときは、コーヒーやお茶、赤ワインではなく、水かぬるま湯を選びましょう。 - ポリフェノール飲料は「間食タイム」に楽しむ
どうしてもお茶やコーヒーを楽しみたい場合は、食事から1〜2時間以上あけたおやつの時間などに飲むようにすると、鉄の吸収への影響が少なくなります。 - 鉄を多く含む食材を意識してとる
赤身の肉、レバー、カツオ、マグロ、貝類、大豆製品、ほうれん草などを、日々の食事にバランスよく取り入れましょう。ビタミンC(野菜や果物)を一緒に摂ると、鉄の吸収を助けてくれます。 - サプリの「とり過ぎ」も見直す
ポリフェノール入りサプリをいくつも併用していると、知らないうちに総量が増えがちです。目的をしぼって1〜2種類にする、一定期間使ったら休むなど、様子を見ながら付き合いましょう。
上手に付き合えば、美容にも健康にもプラス
ポリフェノールは、シミ・シワ対策や血管の老化予防など、美容と健康の両方にうれしい働きを持つ成分です。ただし、「体に良いから」といって、タイミングや量を考えずに摂り続けると、鉄欠乏という別の不調につながるリスクがあります。
特に、疲れやすさや冷え、肌や髪の不調が気になる人は、ポリフェノール自体の問題というよりも、「いつ・何と一緒に摂っているか」を見直してみることが大切です。食事中は水や白湯を中心にして、お茶やコーヒー、赤ワインは「間食やリラックスタイムのお楽しみ」に回す。この小さな工夫だけでも、鉄の吸収はぐっと変わってきます。
ポリフェノールも鉄も、どちらも私たちの体に必要なものです。どちらか一方を悪者にするのではなく、バランスとタイミングを意識して、毎日の「飲み方」「食べ方」を少しだけアップデートしてみてください。























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