飲食店で予約をしたのに、急な予定変更で行けなくなってしまうことは誰にでもあります。そのときに気になるのが「キャンセル料」です。
「当日キャンセルで100%って、本当に払わないといけないの?」「何%までなら法律的に有効なの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
本稿では、飲食店の予約キャンセル料が法律的にどのように考えられているのか、判例や実際の事例を交えつつ、一般の方にもわかりやすい形で整理していきます。
予約キャンセル料は「違約金」の一種
飲食店の予約キャンセル料は、法律的には「違約金」として扱われます。
お店側からすると、人数分の席を空け、食材を仕入れ、スタッフを確保して準備を進めています。直前にキャンセルされると、その分の損失が出ることになるため、あらかじめ「キャンセルのときはいくら請求します」と決めておくわけです。
ポイントは、予約の時点で「キャンセル料が発生すること」と「その条件」がきちんと示され、客側もそれを前提に予約しているかどうかです。
口頭での説明、店内の掲示、予約サイトの注意書きなど、さまざまな形がありえますが、「知らなかった」状態ではトラブルになりやすくなります。
法律上は何%まで有効なのか?明確な上限はない
「キャンセル料は何%までならOK」というような、はっきりした数字の上限は法律に定められていません。
代わりに、消費者契約法という法律が、あまりにも一方的にお店に有利な違約金条項を無効にできる仕組みを用意しています。
消費者契約法では、「事業者(お店)の平均的な損害」を超えて高すぎる違約金は、その超える部分が無効になるとされています。
つまり、予約をすっぽかされたときに、お店が通常被るであろう損害額を大幅に超えるキャンセル料は、「取りすぎ」と判断される余地があるということです。
実際の判例・事例から見える「目安」
では、「平均的な損害」とはどれくらいなのでしょうか。
ここでは、裁判例や実務上よく見られるパターンをもとに、あくまで目安レベルで紹介します。
- 数日前までのキャンセル:
キャンセル料なし、もしくは10〜30%程度 - 前日キャンセル:
30〜50%程度 - 当日キャンセル(特にコース料理・団体):
50〜100%程度
実際の裁判例でも、当日キャンセルでコース料理が用意されていたようなケースでは、100%を認めた例もあります。すでに食材を仕入れて仕込みもしているため、代わりの客を入れることも難しく、損害が大きいと判断されやすいからです。
一方で、飲み放題付きなどで売上の多くを占めるドリンクが、実際には提供されないケースでは、売上全額ではなく、原価や回転率などを考慮して「そこまで高額なキャンセル料は平均的損害を超える」と判断される可能性も指摘されています。
キャンセル料が無効・減額される可能性があるケース
キャンセル料が必ずしもそのまま通るとは限らず、無効や減額が認められる余地もあります。主なポイントは次のとおりです。
- キャンセル料の説明が不十分
予約時にキャンセル料の案内がなく、予約サイトや店頭にも目立つ表示がなかった場合、「合意がない」とされる余地があります。 - 金額が明らかに高すぎる
例えば、数日前のキャンセルにもかかわらず100%請求、席だけ予約で特別な仕込みもないのに高額請求、などは「平均的損害」を大きく超えるとして無効部分が出る可能性があります。 - お店側も損害を回避できたはずの事情がある
早いタイミングのキャンセルで、代わりの客を入れることが十分可能だったような場合、実際の損害は小さいと判断されることがあります。
ただし、これらはあくまで個別の事情の総合判断です。
「〇日前なら絶対に払わなくてよい」といった単純な話にはなりません。
お店側が気をつけたいポイント
飲食店としては、キャンセル料をめぐるトラブルは評判にも関わるため、ルール設計が非常に重要です。以下のような点に注意するとよいとされています。
- キャンセルポリシーの明示
店頭・予約サイト・電話口などで、「いつから・いくらか」をわかりやすく案内する。 - 客観的に説明できる設定
仕入れの有無、コースの単価、席数や回転率などを踏まえ、「このタイミングからは損害が発生する」と説明できるパーセンテージにする。 - 柔軟な運用
悪質な無断キャンセルと、急病や災害など避けられない事情を、同じ扱いにしない工夫もトラブル防止に役立ちます。
利用者側がトラブルを避けるためにできること
一方、利用者の側も、ちょっとした注意でトラブルを大きく減らせます。
- 予約時にキャンセル規定を確認する
予約サイトの下部や「利用規約」に書かれていることが多いので、金額とタイミングを一度は目を通しておく。 - キャンセルが決まったらすぐ連絡する
早ければ早いほど、お店の損失は減り、キャンセル料も発生しにくくなります。 - 納得できない場合は、状況を丁寧に説明する
一方的に「払わない」と突っぱねるよりも、事情を話し、柔軟な対応をお願いしたほうが、円満に解決する可能性が高まります。
「何%まで有効か」はケースバイケース
飲食店の予約キャンセル料が何%まで有効かは、法律に明確な数字はなく、「平均的な損害」の範囲内かどうかで判断されます。
そのため、当日・コース料理・団体予約といった条件が重なれば、100%に近いキャンセル料が認められる場合もありますし、逆に仕入れや準備の負担が小さい状況で高額なキャンセル料を設定すると、無効部分が出るリスクもあります。
最終的には、お店と利用者の双方が「現実的な損害」を意識しつつ、事前の説明とコミュニケーションを丁寧に行うことが、トラブルを避ける一番の近道と言えるでしょう。





















