ビオチンは「飲めば飲むほど良い」わけじゃない?
美容サプリとして人気のビオチン。「髪や爪にいい」「肌トラブルに効く」といった口コミから、高用量のサプリを日常的に飲んでいる人も増えています。
ところが近年、「ビオチンの過剰摂取が、血液検査の結果に誤差を生む」という、あまり知られていない問題が指摘されるようになりました。
体に直接ダメージが出る…という話ではありませんが、「検査結果がズレる」ことで、病気の見逃しや誤った判断につながる恐れがあります。
この記事では、なぜビオチンが検査に影響するのか、日常でどのような点に気をつければよいのかを、できるだけ専門用語を避けて解説します。
ビオチンってそもそも何?
ビオチンは、ビタミンB群の一種で、水に溶ける「水溶性ビタミン」です。
一般的に、次のような働きがあるとされています。
- 糖質や脂質、たんぱく質の代謝をサポートする
- 皮膚や粘膜の健康維持に関わる
- 髪や爪のコンディションを整えるサポート役になると考えられている
通常の食事(卵、レバー、大豆製品、ナッツ類など)からも十分にとれるため、極端な偏食や一部の病気がない限り、欠乏はあまり多くありません。
その一方で、「美容目的」として必要以上に高用量をサプリで摂る人が増えたことで、別の問題がクローズアップされてきました。
なぜビオチンが血液検査に影響するの?
多くの血液検査は、「抗原」と「抗体」というタンパク質がピタッとくっつく性質を利用して、ホルモンや酵素などの量を測っています。
ここで登場するのが、実験や検査の世界でよく使われる「ビオチン−ストレプトアビジン」というセットです。
ビオチンは、特定のタンパク質(ストレプトアビジン)と非常に強く結合する性質があります。これをうまく応用することで、
「測りたい物質を、目に見える形でキャッチする」検査方法が確立されてきました。
ところが、サプリなどで大量のビオチンが体内に入っていると、検査の中で本来くっつくはずの部分に、余分なビオチンが割り込んでしまいます。
その結果、
- 本当より高く見えてしまう検査項目
- 逆に、本当より低く見えてしまう検査項目
が出てきてしまうのです。
どんな検査に影響が出やすいの?
ビオチンの影響を受ける可能性があるのは、主に「ビオチン−ストレプトアビジン方式」を使った検査です。
代表的なものとして、次のような血液検査が挙げられます。
- 甲状腺ホルモン(TSH、FT3、FT4など)
- 一部の性ホルモンやストレスホルモン
- 心筋(心臓)に関するマーカー
- ビタミンや自己抗体の検査の一部
検査の種類や機器、測定キットによって違うため、「この検査は必ず影響を受ける」と一概には言い切れません。
しかし、特に甲状腺関連の検査で誤差が出るケースが報告されており、「数値だけ見ると、甲状腺の病気のように見えてしまう」「逆に病気を見逃す可能性がある」といった問題が懸念されています。
どのくらい飲むと影響が出るの?
一般的なマルチビタミンや、食事から摂れるレベルのビオチンでは、通常、検査への影響は小さいと考えられています。
影響が話題になるのは、
- 「高用量ビオチン(数mg〜数十mg以上)」のサプリを継続的に飲んでいる場合
- 一度に大量に摂取して、血中のビオチン濃度が一時的に高まっている場合
などです。
どのくらいで影響が出るかは、個人差やサプリの種類、検査の内容によって異なるため、「この量を超えたら必ず危ない」とは言えません。
だからこそ、「念のため、検査前にはビオチンを控える」という考え方が大切になってきます。
検査前はビオチンをどうすればいい?
ビオチンは水溶性で、体にずっと溜まり続けるわけではありません。
そのため、多くの場合は、検査の一定時間前からサプリの服用を休止することで、影響を減らせるとされています。
目安としてよく挙げられるのは、
- 一般的な美容目的のサプリ:検査の24時間前から控える
- かなり高用量を摂っている場合:数日〜1週間程度前から医療機関に相談のうえ中止を検討
といったイメージです。
ただし、ビオチンを治療目的で高用量処方されている場合などは、必ず自己判断ではなく、主治医や薬剤師に相談してください。
「ビオチン飲んでます」と伝えることも大事
ビオチンに限らず、サプリメントは「薬ではないから、わざわざ言わなくていい」と思われがちです。
しかし、今回のように、検査結果に影響するケースがある以上、
- 受診時の問診票にサプリ名を書いておく
- 「ビオチン入りのサプリを飲んでいます」と一言添える
といったコミュニケーションはとても重要になります。
医療者側も、サプリの影響を知っていれば、「検査のタイミングを調整しましょう」「今日は採血だけにして、結果は別日に取り直しましょう」といった対応がしやすくなります。
美容サプリと上手に付き合うために
ビオチンそのものは、通常の範囲であれば、広く利用されている成分です。
「ビオチン=危険」という話ではなく、「高用量を漫然と続けると、血液検査に思わぬ影響が出ることがある」という点がポイントです。
美容サプリと上手に付き合うために、次のような点を意識してみてください。
- 必要以上の高用量サプリを、長期間なんとなく続けない
- 健康診断やホルモン検査の前は、ビオチンを含むサプリの一時中止を検討する
- 病院やクリニックでは、飲んでいるサプリを積極的に伝える
- 「数値が変」と言われたら、サプリの影響の可能性も一緒に相談してみる
きちんと知って、ほどよく取り入れることで、サプリはより安心して活用できます。
ビオチンに限らず、「飲んでいるものが、検査や治療に影響するかもしれない」という視点を持っておくと、健康管理の精度も自然と高まっていくはずです。






















