自宅やコンビニ、スーパーなどの「私有地の駐車場」で事故が起きたとき、道交法(道路交通法)は本当に適用されるのか? 警察への通報は必要なのか? 責任はどう分かれるのか?──意外とあいまいなままにしている人が多いテーマです。
この記事では、あまり専門用語を使わずに、
- 私有地駐車場に道交法がどこまで関係するか
- 事故が起きたときの通報義務
- 加害者・被害者・管理者のそれぞれの責任のイメージ
といったポイントを整理していきます。自分や家族を守るための「ちょっとした法律雑学」として押さえておくと安心です。
私有地駐車場でも「不特定多数が使う」なら道交法の対象になりうる
まず押さえたいのが、「私有地だから道交法は一切関係ない」というわけではない、という点です。
道交法がイメージしているのは、本来「道路」ですが、判例や実務では、
- ショッピングモールの駐車場
- コンビニやドラッグストアの駐車場
- コインパーキング
- 月極駐車場でも、出入り自由で多数が利用するような形態のもの
などは、「実質的に道路と同じように車が通行している場所」とみなされることがあります。つまり、所有者が個人や企業であっても、
- 不特定多数の人が自由に出入りできる
- 日常的に車が通行する
といった条件がそろうと、道交法上も「道路またはこれに準ずる場所」と扱われるケースがある、というイメージです。
逆に、
- 鍵付きゲートで完全に外部の人が入れない社用駐車場
- 自宅の敷地内で、家族しか車を動かさないスペース
のように、利用者がかなり限定されている場所では、「純粋な私有地として、道交法の適用は限定的」と考えられます。
私有地駐車場で事故を起こしたときの通報義務
では、私有地の駐車場で事故を起こしたとき、警察への通報は必要なのでしょうか。
結論からいうと、
- 人身事故(ケガ人が出た場合):原則として通報した方が安全かつベター
- 物損事故(車や施設の破損のみ):道交法の「報告義務」が形式的にあてはまらないケースもあるが、実務上は通報するのが無難
という整理になります。
なぜかというと、
- 事故の状況を第三者(警察)が記録してくれる
- 後で保険会社に示談を頼むときに、警察の事故証明が必要になることが多い
- 当事者同士で揉めたときに、「言った・言わない」の争いを減らせる
といった実務上のメリットが大きいからです。
特に人身事故の場合、「あとで痛みが出てきた」など、のちのちトラブルになりがちなので、迷ったら通報しておくというのが無難な行動パターンといえます。
道交法が適用されるとどう違う?罰則との関係
道交法が適用される場所で事故を起こした場合、
- 救護義務違反(ひき逃げ)
- 危険運転などの各種違反
といった刑事上の責任が問題になります。
一方で、私有地で道交法が直接適用されにくいケースであっても、
- 不注意で相手の車にぶつけた
- 子どもを見落として接触してしまった
などがあれば、民法上の「不法行為」としての損害賠償責任は基本的に免れません。つまり、
「道交法が適用されるかどうか」=「責任があるかどうか」ではない
という点が重要です。道交法は刑事罰や行政処分(免許停止など)との関係が強く、一方で、相手の車の修理代や治療費といったお金の問題は、主に民法の領域で整理される、と考えるとイメージしやすいでしょう。
駐車場管理者(オーナー)の責任はどこまで?
「駐車場の白線が消えかけていて分かりづらかった」「カーブミラーや案内表示がなくて危なかった」など、駐車場そのものの構造や管理に問題がある場合、管理者側の責任が問われることもあります。
例えば、
- 見通しの極端に悪い出入口なのに、ミラーや注意看板が全くない
- 段差や穴などの危険が放置されていて事故につながった
といったケースでは、管理者に安全配慮義務違反があるとして、一部の損害賠償を負担することも理屈の上ではありえます。
とはいえ、通常の駐車場で、一般的なレベルの整備がされている場合は、
- 基本的には運転者本人の注意義務が重く評価される
- 管理者の責任が問題になるのは、かなり危険が明らかだったケースに限られることが多い
と考えておくのが現実的です。
事故が起きたときに「やっておくとよい行動」チェックリスト
私有地かどうかに関わらず、駐車場で事故に遭った場合の、基本的な対応を簡単に整理しておきます。
- 1. ケガ人の安全確保:車を安全な場所に移動し、二次被害を防ぐ。必要なら救急車を呼ぶ。
- 2. 警察への通報:特に人身事故は通報を。物損でも、相手と話し合いのうえ通報しておくと安心。
- 3. 連絡先の交換:相手の氏名・住所・電話番号・車のナンバー、加入保険会社など。
- 4. 現場の記録:スマホで事故現場や車の位置、破損状況などを撮影しておく。
- 5. 自分の保険会社に連絡:その場で示談しようとせず、まず保険会社に相談する。
「私有地だから小さな事故なら放っておいていい」という考え方は、後々、トラブルの火種になりがちです。淡々と、やるべきことをこなしておくほうが、結果的に自分を守ることにつながります。
まとめ:私有地でも「道路並み」の場所では道交法を意識しておく
私有地の駐車場といっても、
- 不特定多数が出入りする商業施設の駐車場などは、道交法が適用される可能性が高い
- ごく限られた人しか使わないクローズドな駐車場では、道交法の関わりは限定的になりやすい
- ただし、どちらの場合でも、民法上の賠償責任は生じうる
- 迷ったら警察と保険会社に連絡して、記録を残しておくのが無難
というポイントを押さえておくと、いざというときに冷静に動きやすくなります。
日常的に使う駐車場だからこそ、「私有地だから大丈夫」と油断せず、公道と同じくらいの注意を払うことが、最大のリスク回避策といえるでしょう。




















