キャッシュレス決済が当たり前になり、クレジットカードやQRコード決済の「ポイント還元」をお得に感じて使っている人は多いと思います。ただ、「こんなにポイントをばらまいて、お店やカード会社は本当に大丈夫なの?」「ポイントの原資ってどこから出ているの?」と、ふと疑問に思うことはないでしょうか。
本稿では、専門用語をできるだけ避けながら、ポイント還元の「お金の流れ」と「原資の仕組み」を分かりやすく整理していきます。
キャッシュレス決済のポイントは誰が負担している?
まず押さえておきたいのは、「ポイントの原資は、基本的にどこかの誰かが負担している」ということです。無料でお金がわいてくるわけではありません。
主な負担者は次の3つです。
- ① お店(加盟店)が支払う「決済手数料」
- ② カード会社や決済事業者の利益の一部
- ③ キャンペーンなどで投下される「広告宣伝費」
多くの場合、お店がカード会社などに支払う手数料が、ポイント原資の大きな柱になっています。そこに、カード会社などが自社の利益や広告費を乗せて、キャンペーンとしてポイントを上乗せしているイメージです。
決済手数料がポイント還元の“エンジン”になる仕組み
キャッシュレス決済では、利用者が支払った金額の一部が、「決済手数料」としてカード会社や決済事業者に入ります。例えば、あなたが1万円の買い物をして、加盟店手数料が3%だったとしましょう。
- お店が受け取るのは:9,700円
- カード会社や決済事業者が受け取る手数料:300円
この300円の中から、システムの維持費・不正対策・人件費などのコストを引き、残った部分が利益となります。この利益の一部を、利用者へのポイント還元に回しているわけです。
例えば1%還元なら、1万円の決済で100ポイント(≒100円相当)が付与されます。手数料300円の中から100円をポイントにまわしても、残りの200円でコストと利益をまかなえるのであれば、ビジネスとしては成り立ちます。
高還元キャンペーンは「広告費」の一種
ときどき見かける「20%還元」などの大盤振る舞いキャンペーン。さきほどの手数料の例では、とてもペイしないように見えます。では、なぜ可能なのか。
ここで重要なのが、広告宣伝費としての「投資」という考え方です。
- 新しいユーザーを一気に獲得したい
- ライバルのサービスから乗り換えてほしい
- 自社の決済を“日常の習慣”にしてもらいたい
といった目的で、企業はテレビCMやネット広告に大きな費用を投じています。高還元キャンペーンも、「広告にお金を使う代わりに、ポイントとしてユーザーに直接配っている」と考えることができます。
この場合、短期的には赤字でも、
- ユーザーが長く使い続けてくれる
- 他のサービス(ローン、投信、保険など)を利用してくれる
といった長期的な利益が見込めれば、全体としてはプラスになる、という計算です。
「年会費」や「リボ払い」も原資になる?
一部のクレジットカードでは、
- 年会費(有料カード)
- リボ払いや分割払いの手数料
- キャッシングサービスの利息
などから得られる収入も、ポイントや特典の原資のひとつとされています。とくに、リボ払いや分割払いの手数料は、カード会社にとって大きな収益源になり得ます。
そのため、還元率の高いカードほど、「リボ払いへの誘導」が強めになっていることもあります。お得なポイントの裏に、こうした収益構造があることは知っておいて損はありません。
お店側は本当に損しているのか?
「手数料のせいで、結局お店が損しているのでは?」という疑問もよく聞かれます。確かに、現金決済に比べて、キャッシュレス決済はお店側の負担が増えます。
一方で、お店には次のようなメリットもあります。
- 現金管理の手間やリスク(レジ締め・誤差・盗難など)が減る
- 客単価が上がりやすい(カードだと予算がゆるみやすい)
- 「ポイントが付くからこの店を選ぶ」というお客さんが増える
つまり、手数料を払う代わりに、売上アップやコスト削減の効果を得ているとも考えられます。もちろん、利益率の低い小さなお店にとっては重い負担になることもあり、ここは業界全体での議論が続いているポイントです。
ポイント還元の「見えないコスト」にも注意しよう
利用者の立場から見ると、ポイント還元は「もらえるものは、もらっておこう」と感じがちですが、見えないコストにも目を向ける必要があります。
- ポイント欲しさに、つい余分な買い物をしてしまう
- キャンペーンのルールが複雑で、時間と手間がかかる
- リボ払いや分割払いで、利息の負担が増えてしまう
ポイントの原資は、どこかで誰かが負担しています。「自分にとって本当にメリットがあるか」を意識しながら、キャンペーンや支払い方法を選ぶことが大切です。
賢いポイント活用のためのシンプルな考え方
最後に、ポイントとの付き合い方の目安となる、シンプルな考え方をまとめます。
- 1. 「ポイントのための消費」をしない
欲しいものが先、ポイントはあくまで「おまけ」と考える。 - 2. 無理に高還元を追いかけない
キャンペーンの条件が複雑だったり、リボ払いが前提なら、一歩引いて冷静に。 - 3. 支払いは基本「一括払い」
利息や手数料で、ポイント以上のコストを払ってしまっては本末転倒です。 - 4. メインで使うキャッシュレス手段を絞る
ポイントがあちこちに分散すると、管理が面倒になり、失効リスクも増えます。
ポイント還元の原資の仕組みを知っておくと、「なぜこんなキャンペーンが打てるのか」「どこまで乗るべきか」を自分で判断しやすくなります。お得さに振り回されず、うまく使いこなすことが、キャッシュレス時代の「新しいお金の教養」といえるでしょう。























