子育てと仕事を両立する日々では、通院の「移動」「待ち時間」「付き添い調整」が大きな負担になりがちです。オンライン診療は、その負担を圧縮し、短いすき間時間で受診できる選択肢として有効です。本稿では、家庭と職場の両方で無理なく使いこなすための準備・段取り・コミュニケーションの実践術を、やさしい言葉で整理します。緊急性の高い症状には向かない一方、定期フォローや軽微な相談に強みがあります。うまく取り入れて、心身とスケジュールの余裕をつくりましょう。
オンライン診療が両立に効く理由
オンライン診療は、移動時間ゼロ、待合スペースなし、家や職場から受診できるのが魅力です。特に、子どもが小さく外出が難しい時期、在宅勤務と相性がよい時、昼休みや会議の合間など、短時間の「受診の窓」を作れるのが強みです。処方箋のデジタル化や薬の配送に対応する医療機関も増えており、通院の負担をさらに減らせます。
実践1:15分を生む「事前準備」
- アプリ登録と本人確認:初回は時間がかかるので、余裕のある夜に済ませておく。
- 症状メモ:いつから・どのタイミングで・何が困るかを箇条書きに。体温や経過も簡単に。
- 写真・動画:皮膚の発疹や咳の様子などは、明るい場所で短い動画・ピントの合った写真を用意。
- お薬情報:手元の薬、サプリ、過去に合わなかった薬の名称を控える。
- 保険証・母子健康手帳・検診結果:すぐ提示できる場所にまとめる。
実践2:家・職場での「受診環境」を整える
- 静かなスペースとイヤホン:プライバシー確保と聞き取りやすさが向上。
- 通信チェック:Wi‑Fiが不安定ならスマホ回線に切り替える準備を。
- カメラ位置:顔色や患部が映しやすい角度を事前に確認。
- 子ども対策:お気に入りの絵本やおやつ、短時間の動画を用意して集中を保つ。
実践3:働き方とぶつけない段取り
- タイムブロック:昼休みの前半15分など、固定枠を週に1つ持つと予約が取りやすい。
- 上司・同僚への一言テンプレ:「家庭の通院をオンラインで行います。◯時〜◯時は不在ですが、緊急はチャットで対応します」。
- 会議の前後5分を空ける:診療の延長・薬局連絡に備え、バッファを確保。
- 就業ルールの確認:私用受診の扱い、時間単位休暇の可否を事前にチェック。
実践4:小児のオンライン診療をスムーズに
- 同席者の役割分担:片方がカメラ、もう片方が体温計や水分などを用意。
- 記録の一元化:母子手帳、予防接種歴、学校や園からの連絡票を写真で保存。
- 症状の変化を動画で:夜間の咳や発疹の広がりは、短い動画が説明に有効。
- 本人確認や保護者同意:医療機関のルールに沿って準備(身分証の提示など)。
実践5:費用・手続き・セキュリティの基本
- 費用の内訳を把握:診療料に加え、システム利用料や薬の配送費がかかる場合がある。
- 支払い方法:クレジット決済や後払いなど、アプリの対応を事前に確認。
- 薬の受け取り:最寄り薬局での受け取りか配送かを予約時に選ぶ。
- 個人情報の保護:公式アプリ・正規サイトのみ利用し、公共Wi‑Fiでは避ける。
向いているケース・向かないケースの目安
- 向いている例:定期フォロー、軽い肌トラブルの相談、花粉・慢性症状の継続相談、検査結果説明、生活習慣の相談、薬の継続処方の相談。
- 向かない例:急に強い痛みや高熱が続く、意識がもうろうとする、呼吸が苦しい、出血が止まらないなど、緊急性が疑われる状態。こうした場合は、速やかな対面受診や救急の判断が必要です。
オンライン診療は万能ではありません。医療機関ごとに対応範囲が異なるため、迷ったら受付に相談し、適した受診方法を確認しましょう。
「習慣化」でさらにラクにする
- マイルール化:受診は「火曜の昼」など固定し、家族カレンダーと連動。
- チェックリスト化:毎回の準備項目をメモにして、アプリの予約通知に添付。
- 記録のシンプル化:診療後に「症状の要点・次回の予定・薬の受け取り」を1分でメモ。
まとめ:時間を取り戻し、心の余白をつくる
オンライン診療は、移動や待ち時間のストレスを減らし、子育てと仕事の「すき間」をうまく活用するための実践的なツールです。事前準備と環境づくり、職場とのコミュニケーション、家庭内の分担を整えることで、15分の受診が大きな安心に変わります。向き・不向きを見極めつつ、無理のない範囲から取り入れて、日々の余裕を増やしていきましょう。






















