「お布施はいくら包めばいい?渡し方は?税金は関係ある?」──多くの人が直面する悩みは、相場が見えにくいことと、地域差・寺院差が大きいことにあります。本稿では、一般の方にもわかりやすく、最新事情を踏まえた目安とマナー、税金の基本、失敗しないための注意点を整理します。結論から言えば、迷ったら寺院へ事前確認が最短の解決策。ポイントは「事前確認」「内訳を分ける」「丁寧な言葉選び」の3つです。
お布施の基本と考え方
お布施は「読経や法要への謝礼」だけでなく、寺院やご本尊への感謝を表す気持ちが土台にあります。固定料金ではなく、地域・宗派・寺院との関係(檀家か否か)で幅が出ます。したがって、インターネットの相場はあくまで参考。迷いを避けるには、日時の段取り確認と合わせて寺院に「目安」や「内訳」を聞くのが最善です。
相場の目安(2025年時点)
- 通夜〜葬儀〜初七日:5万〜20万円(都市部は10万〜20万円が目安)。寺院により「戒名料」が別立て(10万〜50万円程度)になる場合あり。
- 納骨法要:2万〜5万円程度。
- お墓参りの読経(墓経):1万〜3万円程度。
- 年忌法要(1周忌・三回忌):3万〜5万円程度、以後の年忌は1万〜3万円程度が目安。
- 御車料(送迎がないときの交通費相当):5千円〜1万円。
- 御膳料(会食に出られない場合など):5千円〜1万円。
同じ地域でも寺院ごとに考え方が異なります。檀家は年会費や護持費がある一方、法要時のお布施は抑えめになることも。非檀家(紹介・ネット手配など)は目安が高めに設定されがちです。金額で悩むより、「お布施」「御車料」「御膳料」を分けて包み、合計感を整えると伝わりやすくなります。
マナーと渡し方
- 表書き:白い封筒や不祝儀袋に「御布施」。交通費は「御車料」、会食代わりは「御膳料」。それぞれ別封に。
- のし・水引:お布施は基本的に無地や双銀の水引。宗派や地域で流儀が違うため、寺院の指示が最優先。
- 包む紙幣:新札でも差し支えないとされることが多い(香典とは扱いが異なる)。気になる場合は寺院に確認を。
- 書き方:封筒の裏に住所・氏名。内袋がある場合は金額も明記(算用数字で可)。
- 渡すタイミング:法要の前後、施主から丁寧に。袱紗に包み、切手盆があれば載せて渡す。
- キャッシュレス対応:振込やQR対応の寺院も増加。名義・用途(御布施/御車料等)の明記方法を事前確認。
税金の取り扱いの基本
個人が寺院へ渡すお布施は、原則として所得税の寄附金控除の対象外です(宗教法人への一般的なお布施は控除の対象になりません)。したがって、領収書があっても確定申告で控除できないのが通常です。事業者でも、お布施は原則として経費算入は想定されません(社葬など特殊事情は専門家へ相談)。個人側に贈与税等がかかるケースは通常想定されません。
よくある失敗と注意点
- インターネットの「相場」を鵜呑みにする:地域・寺院で差が大きい。最終確認は寺院へ。
- 内訳を混在:お布施・御車料・御膳料は分けると親切。振込でもメモ欄で区別。
- 口約束だけ:日時・場所・読経内容・お布施の目安と内訳をメモに残すと安心。
- 袋や表書きの間違い:香典袋(御霊前/御仏前)と混同しない。「御布施」を使用。
- 家族内の意思疎通不足:金額や宗派の作法は早めに共有。後日の気まずさを防ぐ。
- 新紙幣への不安:新デザインの紙幣でも問題なし。気になる場合は新旧を混在させない程度の配慮を。
寺院への聞き方・相談例
言いにくい時こそ、丁寧に率直に。例えば──「このたび◯◯の法要をお願いしたく存じます。お布施の目安と、御車料・御膳料の扱いを教えていただけますか」「封筒の表書きや渡すタイミングに決まりがあればご教示ください」。こうした一言で、迷いの多くは解消します。
まとめ
お布施は「感謝の気持ち」を形にするもの。だからこそ、金額や作法で過度に迷わないための事前確認が大切です。内訳を分け、無理のない範囲で、相手の流儀に合わせる。この3点を押さえれば、失礼なく、納得感のある準備ができます。





















