「投信の信託報酬は毎日天引き?基準価額の計算の仕組み」。投資信託を選ぶとき、多くの人が気にするのがコストと値動きです。けれど、信託報酬がいつ・どうやって差し引かれ、基準価額にどう反映されるのかは、意外と知られていません。本稿では、専門用語をできるだけ避けて、毎日の計算のイメージや確認のコツを整理します。
「信託報酬は毎日天引き」って本当?
結論から言うと、ほぼ「毎日少しずつ反映」されます。信託報酬は年率で表示されますが、実務では日割りで費用が発生し、ファンドの資産から計上されます。その結果、基準価額(1万口あたりの値段)に毎日わずかに織り込まれていきます。
たとえば年率0.5%のファンドなら、1日あたりはおよそ0.5%÷365≒0.00137%。1万円に対して約0.14円分が、相場が動かなくてもコストとして目減りするイメージです。もちろん実際には市場の値動きが大きく、コストの影響は日々の上下にまぎれて見えにくくなります。
基準価額はどう作られる?一日の流れ
基準価額は、ファンドが持っている資産の価値を集計し、費用を差し引いて計算されます。一般的な流れは次の通りです(営業日ごとに1回)。
- 国内外の株式や債券など保有資産を時価で評価する
- 受け取る配当・利息などを加える(未収も見込みで計上)
- 信託報酬などの費用を日割りで差し引く(監査費用等も含む場合あり)
- 純資産総額を口数で割ることで基準価額を決める
つまり、基準価額は「市場の値動き+収益(配当・利息)-費用」の合計で日々更新されます。
「保有しているだけで減っている」ように見える理由
相場が横ばいなのに基準価額がわずかに下がることがあります。これは日々の信託報酬が反映されるため。年率で見ると小さくても、長期では差が広がります。低コストのインデックスファンドが選ばれやすいのは、この積み重ねの影響が効いてくるからです。
分配金と基準価額の関係
分配金が出ると、その分だけ基準価額は原則として下がります。お財布にお金が移動しただけで、新たに利益が増えたわけではありません(税金の扱いにも注意)。「分配が多い=有利」とは限らないので、分配後のトータルリターンで比較するのがポイントです。
指数連動型は手数料でズレる?
インデックスファンドは指数に連動を目指しますが、実際の成績は指数よりわずかに下回ることが多いです。主な要因は信託報酬、売買コスト、配当税制の差など。目論見書や運用報告書の「乖離要因」の説明をチェックし、長期の「トータルリターン」と指数との差を確認すると、実力が見えやすくなります。
「実質コスト」を見ると理解が深まる
表面の信託報酬だけでなく、監査費用や売買委託手数料などを含めた「実質コスト」(運用報告書に記載)も参考になります。年に一度公表されるためタイムラグはありますが、運用の丁寧さや規模の効果が表れやすい項目です。
信託財産留保額にも注意
換金時にかかる「信託財産留保額」は、解約者のコストをファンドに留保して残っている投資家を守るための仕組みです。長期保有が前提なら大きな負担になりにくい一方、短期売買には不利です。目論見書で有無と料率を確認しましょう。
確認方法と選び方のヒント
- 目論見書で信託報酬の内訳と上限、留保額の有無を確認
- 運用報告書で実質コストと指数との乖離、トータルリターンを確認
- 同じカテゴリーで複数ファンドを比較(コスト・規模・継続性)
- 長期の積立なら、低コスト・分配控えめ・純資産が安定のものが無難
まとめ:毎日少しずつ、長期では効いてくる
投信の信託報酬は、日々の基準価額に少しずつ織り込まれます。1日では誤差程度でも、何年も積み重なると効いてきます。大切なのは、「コストは日々反映される」「分配で基準価額は下がる」「トータルリターンで比較する」という3点を押さえること。仕組みを知れば、数字の動きに納得感が生まれ、投資判断も落ち着いて行えるはずです。























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