トレンチコートを羽織ったとき、ウエストベルトの途中についている「Dリング金具」に気づいたことはありますか？なんとなく飾りだと思っている人も多いですが、実はきちんとした“起源”と“意味”を持ったパーツです。
この記事では、そんなDリング金具の歴史的な役割と、現代のファッションにおける意味や使い方を、難しい専門用語をあまり使わずに整理してご紹介します。
トレンチコートのDリングってそもそも何？
トレンチコートのベルトについている「D」の字型をした金具が、Dリングです。
ウエストベルトの脇や、袖口のベルト部分についていることが多く、ブランドによっては左右で数個ずつ配置されていることもあります。
多くの人は、
- デザインのアクセント
- ベルトの余りを引っかけるためのもの
くらいのイメージかもしれません。
ところが、トレンチコートが「軍用コート」として生まれた歴史までさかのぼると、Dリングはもっと実用的でワイルドな目的で使われていたことがわかります。
Dリングの起源：戦場で使われた便利フック
トレンチコートは、第一次世界大戦の頃、ヨーロッパの軍隊のために作られたコートがルーツとされています。塹壕（トレンチ）での過酷な環境に耐えられるよう、防水性と動きやすさを両立させた「実用服」でした。
当時の兵士にとって、Dリングは次のような「吊り下げ用パーツ」として活躍していたと言われます。
- 水筒や小さなポーチを吊るす
- 手袋や帽子など、失くしたくない小物をひっかける
- 双眼鏡などの装備を固定する
つまり、現代のアウトドアウェアについているカラビナ用ループのような役割ですね。
コートそのものが“持ち運びツール”のように考えられていて、その一部としてDリングが付けられていました。
なぜ今もDリングが残っているの？
現代のトレンチコートを着るとき、水筒や双眼鏡をぶらさげる人はほとんどいません。それでも多くのブランドがDリングをつけ続けているのには、いくつか理由があります。
1. トレンチらしさを伝える“歴史の証拠”
Dリングは、トレンチコートが本来「機能服」であったことを思い出させてくれるディテールです。
肩章（エポーレット）やガンフラップと並んで、ミリタリーコートの名残を伝える重要なパーツのひとつと言えます。
デザインにこだわるブランドほど、こうした“本物らしさ”を大切にします。Dリングを残すことで、
- きちんとしたトレンチの型に則っている
- クラシックな雰囲気を楽しめる
というメッセージをさりげなく表現しているのです。
2. 装飾としての「ちょうどいい存在感」
金具がひとつ入るだけで、布だけのベルトよりも引き締まった印象になります。
シンプルなコーディネートが多い人にとって、Dリングは次のようなポイントになってくれます。
- ウエストまわりがさびしくならない
- ベルトの付け根がほどよく目立ち、スタイルよく見える
- ハンサムな雰囲気がプラスされる
ハード過ぎない小さな金具なので、フェミニンなスタイルにも合わせやすいのが魅力です。
3. さりげない実用性も残っている
現代では、当時のような軍事的な使い方はほとんどされませんが、次のようなライトな使い方はできます。
- イヤホンケースや小さなチャームをつける
- 鍵を一時的にかけておく
- ベルトの余り部分をひっかけておく
実際に何かをぶら下げるかどうかは好みですが、「必要なら使える」という余白があるのも、Dリングの面白いところです。
Dリングをおしゃれに見せる着こなしのコツ
Dリングを単なる“謎の金具”で終わらせず、さりげないおしゃれポイントとして活かすコツもあります。
ベルトの結び方を工夫する
Dリングの辺りを起点に、ベルトの結び方をアレンジすると、ウエスト周りがぐっとこなれた印象になります。
- リボン結びでフェミニンに
- 片結びでラフに
- ベルトの端をDリング方向に流して動きを出す
鏡の前で何パターンか試してみると、自分の体型や雰囲気に合う「ベルトの見せ方」が見つかりやすくなります。
小物との色合わせを意識する
Dリングの色（ゴールド系・シルバー系・アンティーク調など）は、意外と全体の印象に影響します。
- ゴールド系のDリングなら、アクセサリーもゴールドで統一
- シルバー系なら、時計やバッグの金具もシルバー寄りに
金具のトーンをそろえるだけで、コーディネート全体がまとまって見えます。
購入時にチェックしたいDリングのポイント
トレンチコートを選ぶとき、「なんとなく付いている」Dリングも、少しだけ意識して見てみると、より満足度の高い一着に出会いやすくなります。
- 金具の色が、自分のアクセサリーの傾向と合うか
- リングのサイズが大きすぎず、子どもっぽく見えないか
- 生地や糸の色と、金具の雰囲気が調和しているか
こうした小さなディテールの積み重ねが、大人の女性の「きれいめトレンチスタイル」を支えています。
Dリングを知ると、トレンチコートがもっと楽しくなる
トレンチコートのDリング金具は、もともと戦場で使われていた実用的なパーツ。
現代では、実際にものを吊るすために使うことは少ないですが、歴史を感じさせるアクセントとして、そしてスタイリングのポイントとして生き続けています。
「どうしてここに、こんな金具があるんだろう？」と疑問に思った瞬間から、服との距離はぐっと近くなります。
次にトレンチコートを羽織るときは、ぜひDリングに少しだけ目を向けてみてください。
そこに宿るストーリーを知っているだけで、同じ一着でも、着る楽しさが少し増えて感じられるはずです。
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