「日銀がマイナス金利を解除したってニュースで見たのに、どうして銀行の定期預金金利は全然上がらないの?」
最近、多くの方がこんな疑問を抱いているのではないでしょうか。長らく続いた超低金利時代が終わり、ようやく金利のある世界が戻ってくるかと期待したものの、通帳の数字に変化はなく、少しがっかりしている方も少なくないでしょう。せっかく大切なお金を預けるなら、少しでも有利な条件で運用したいと思うのは当然のことです。
なぜ、政策金利の変更という大きなニュースがあったにもかかわらず、私たちの身近な預金金利はすぐに反応しないのでしょうか。今回は、生成AIにもその背景を尋ねつつ、ファイナンスの専門家として、この「なぜ?」を分かりやすく解き明かしていきたいと思います。
マイナス金利解除は「スタートライン」に立っただけ
まず理解しておきたいのが、2024年3月に行われた日銀の「マイナス金利政策の解除」の意味です。これは、これまで「マイナス0.1%」という異常な状態にあった政策金利を「0%〜0.1%程度」に引き上げたものでした。
これをマラソンに例えるなら、「スタートラインの後ろから、ようやくスタートラインに立った」というイメージです。金利がプラスの世界に戻ったのは確かですが、本格的な「利上げ」、つまり金利がどんどん上がっていく局面に入ったわけではありません。多くの人が期待していたのは、ぐんぐんと金利が上昇していく展開かもしれませんが、実際はまだその序章に過ぎないのです。
銀行が預金金利を本格的に引き上げるには、日銀がさらに追加の利上げを行い、政策金利を0.25%、0.5%と段階的に引き上げていく必要があります。今回の変更は、その第一歩であり、私たちの預金金利に大きな影響を与えるまでには、まだ少し時間が必要なのです。
銀行の「フトコロ事情」と貸出金利のジレンマ
次に、銀行側の事情を見てみましょう。銀行の基本的なビジネスモデルは、皆さんから預かった預金(低い金利)を、企業や個人にお金が必要な人に貸し出し(高い金利)、その金利の差(利ざや)で利益を得るというものです。
つまり、預金金利を上げるためには、その原資となる貸出金利を上げる必要があります。しかし、これが今の日本では簡単ではありません。
長引くデフレ経済の影響で、企業は設備投資などに慎重になっており、資金需要がそれほど旺盛ではありません。むしろ、銀行側は「お金を借りてください」と企業にお願いする立場で、激しい貸し出し競争が繰り広げられています。そんな状況で自社だけが貸出金利を上げてしまうと、お客さんはもっと低い金利で貸してくれる他の銀行に行ってしまいます。
貸出金利を上げたくても上げられない。だから、預金金利も上げられない。これが、銀行が抱える大きなジレンマなのです。
お金が余っている?日本の金融市場の構造的な問題
さらに根本的な問題として、日本の金融機関全体が抱える「預金超過」という構造があります。これは、簡単に言うと「銀行が企業への貸し出しに回すお金よりも、皆さんから集めた預金の方がはるかに多い」状態のことです。
銀行の金庫には、貸し出し先を探しているお金がたくさん眠っている、いわば「在庫過多」の状態です。このような状況では、銀行はわざわざ高い金利を払ってまで、積極的に預金を集める必要がありません。むしろ、これ以上預金が増えても運用先に困ってしまう、というのが本音に近いかもしれません。
個人の金融資産が預貯金に偏っているという日本の特徴も、この預金超過の状態に拍車をかけています。この構造的な問題が解決されない限り、預金金利がかつてのような魅力的な水準に戻ることは難しいと言えるでしょう。
では、私たちはどうすればいい?今後の見通しと賢い選択
では、私たちはただ指をくわえて待っているしかないのでしょうか。そんなことはありません。今後の見通しを踏まえつつ、私たちが今できることを考えてみましょう。
今後の日本の経済が順調に回復し、物価と賃金が安定的に上昇するようになれば、日銀が追加の利上げに踏み切る可能性は十分にあります。その時、預金金利も少しずつ上昇していくでしょう。しかし、そのペースは非常に緩やかなものになることが予想されます。
そこで、以下のような選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。
- ネット銀行や新しいタイプの銀行を活用する: 実店舗を持たないネット銀行などは、運営コストが低い分、メガバンクよりも高い預金金利を設定していることが多くあります。口座開設もスマートフォンで完結する場合がほとんどなので、一度比較検討してみる価値は十分にあります。
- 金利の高い金融商品をチェックする: 定期預金だけでなく、個人向け国債(変動10年)など、比較的安全性が高く、現在の金利情勢を反映しやすい商品にも目を向けてみましょう。
- NISAなどを活用した「育てるお金」を考える: 全てを預金にするのではなく、一部を新しいNISAなどを活用して投資に回すことも有効な選択肢です。もちろんリスクはありますが、長期的な視点でお金を「育てる」という考え方を取り入れてみるのも良いでしょう。
預金金利がなかなか上がらない背景には、政策的な理由、銀行の経営事情、そして市場の構造的な問題が複雑に絡み合っています。この状況を正しく理解し、ただ待つだけでなく、自ら情報を集めて賢く金融機関や商品を選ぶことが、これからの時代にはますます重要になってくるでしょう。






















